ディアナとアクシオンのパ・ドゥドゥはバレエ「エスメラルダ」の中で、猟師のアクシオンと狩猟の女神ディアナとのパ・ド・ドゥで、
見所は女神の優しさと勇壮な男性の対比で、バレエコンサートでは定番となっていて、主役のエスメラルダとフェビュスのパ・ド・ドゥよりも多いくらいです。
このパ・ド・ドゥは、プーニのオリジナル版にはなく、おそらくプティパが改編したとき、ディヴェルティスマンの一つとして挿入されたそうです。
アダージョ、男性のバリアシオン、女性のバリアシオンそしてコーダと、典型的なパドゥドゥの形式をとった華麗な踊りです。
ディアナが弾みながら現れ、弓を引くように、腕と脚を鋭く開いてアラベスクをし、女神の威厳と輝きを誇示します。
続いて、野性的なアクシオンが、高いジャンプとともに登場します。
女性ダンサーは、技巧的なパや、アラベスクやアラベスク・パンシェの決めの美しさに加え、女神の気高さが求められ、
男性ダンサーには、野性的な爆発力が求められます。
とても素敵な、エスメラルダ〜ディアナとアクシオンのパ・ド・ドゥの映像が、YouTubeに載っていました。
男性ダンサーには、バリエーションで高いジャンプなど高度な技術が要求されることに加え、アダージョでは女性を優しく支える繊細なも必要ですが、
この男性は、この双方に長けている素晴らしいダンサーだと思いました。
パートナーの女性は、サポートの男性を信頼仕切っているようで、伸び伸びと自分の持てる美しさを披露。アダージョのアントレ直後の見せ場、支えの男性の右手を握り締めて、左足を180°近くまで高々と上げたアラベスクパンシェ。
険しい表情で危ういバランスをグッと堪えた美しい姿に、ハッと息を呑みました。
バリエーションもとても可愛らしく、ピルエットからのフィニッシュもピシッと決まって、思わず笑みが零れました。
ただ、コーダのグラン・フェッテはダブルを加えて軽快に回っていたけれど、後半は険しい表情を見せて少々苦しそう。でも歯を食いしばって懸命に頑張って回り終えたのは立派、感動しました。
難しいパやポーズを終える毎に、男性が「良い出来だったよ!」、女性が「確かなサポート有難う!」と互いの目が語りかけているようで微笑ましかった。
こんなシーンを見れるのも、パ・ド・ドゥの醍醐味でしょう。
また、女性のピルエットは出色。一人で回るときも、腰を支えられて回るときも、スムーズで本当に綺麗。これは素晴らしい技術です。
しかも、ズームアップしたときのカメラのアングルが低いので、ピルエットをはじめ、トゥで立った女性の美しいポアントワークをよく見ることができたのは有難たかった。
勇壮でダイナミックながらも女性への優しい気配りを忘れないアクシオン役の男性ダンサーと、 全身から優しさを感じさせる女神ディアナ役の美しい女性ダンサーとの、とても気のあった素敵なパ・ド・ドゥでした。
コメントには、Takanori Mima & Chisato Tanaka としか書かれていないので、ダンサーの名前ははっきりしないのですが、おそらくTakanori Mimaは三間貴範、Chisato Tanakaは田中千里なのでしょう。
三間貴範は東京シティバレエのダンサーとして活躍されていますが、田中千里さんがどんな方か分かりません。
田中さんのブログにはこのパ・ド・ドゥの写真だけなので、詳しいことは分かりませんが、世の中には隠れた才能の人が居るものだなと、つくづく感じました。
田中千里の踊りはとてもエレガントだし、三間貴範はダイナミックで、狩猟の女神ディアナと猟師アクシオンに相応しいと思います。
田中千里はダンサーにしてはさほど大きくないけれど、小さな頭に、長い脚という均整の取れたプロポーション。
清楚なたたずまい、溢れる気品、伸びやかな爪先といったバレリーナの資質を備え、
アダージョのゆっくりして柔らかな動きをきちんとこなしてとても優雅。加えて、溌剌としてキビキビとした身のこなしと可愛らしい表情も兼ね備えている。
可憐で知的な優しさ、陶磁器のような繊細な輝きが香り立つ美しいバレリーナです。
Takanori Mima & Chisato Tanaka - Diana & Acteon Pas de Deux
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なおYouTubeには、このパ・ド・ドゥのアダージョとコーダのリハーサルの映像も載っていました。一生懸命に稽古する二人の姿を見られます。
リハーサルでは、コーダのグランフェッテで、女性のトゥの先がどんどんズレてきてしまったし、最後のパートナーに腰を支えられたピルエットも止まりそうになってしまったけれど、
本番の舞台では全くズレがなくピルエットもしっかり回っていました。
苦しい稽古の賜物でしょう。田中千里のひたむきな努力の結晶でしょう、敬服します。
Diana and Acteon Adagio rehearsal by Chisato Tanaka, Takanori Mima
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rehearsal of Diana and Acteon by Takanori Mima and Chisato Tanaka from Coda. → |
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