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Cool Beauty 荒川静香さん (2006.2.26)
荒川静香選手取りました!!。トリノ五輪で日本中が待ち望んだメダル。しかもゴールド。
何はともあれ「荒川さん、おめでとう!!」。
オリンピックに特段に興味があったわけではなかった私ですが、フィギュアスケートは、若い頃少しかじっていたし、また、女子フィギュアは昨年末から熾烈な代表選考争いもあって注目をしていただけに、素直に、美しい、素晴らしいと感じました。
彼女、クールビューティと言われるけれど、笑うと愛嬌がこぼれて艶やかですし、スケーティングはのびのびとした大きな演技で、見ていて心が奪われました。
女子フィギュアは衣装も見る楽しみのひとつ。荒川さんの衣装は、彼女のお母さんの手作りとか。荒川さんのスラリとした手足が引き立つデザインの衣装。シャープで直線的なラインとブルーの濃淡の切り替えがクールビューティ荒川さんにとても合っていたし、胸と背中が縦に深く開いたデザインも洗練されていて、とても綺麗だと思いました。
荒川静香選手は、演技の優雅さ、滑らかさ、女性らしさは世界でも随一と言われています。ただ、早い曲小気味のいい曲は苦手とか。バレリーナでは、故マーゴ・フォンティーンや大好きな
吉岡美佳さんのようなタイプでしょうか。
村主選手も4位入賞、ミキティこと安藤選手も4回転に挑戦、スゴイと思います。
他の選手たち、みなさん悔しい思いはしているでしょうが、精一杯挑戦したのだから、やはり素晴らしいことです。
荒川選手、ここまでくるには、いろいろ苦労をしたり、挫折をしかけたりしたと聞いていました。
2月25日放送のNHKスペシャル「荒川静香、金メダルへの道」で、その苦労が並大抵のものではないことを知りました。
荒川選手は8年前の長野五輪に16歳で出場し13位。一昨年の世界選手権では安定感のあるジャンプと高いスケーティング技術で優勝を果たし、世界チャンピオンになりました。しかし、その後新たに採用された採点法によって、持ち味であるスケールの大きな美しい演技が高得点に結びつかなくなってしまいました。最高ランク「レベル4」の技術をどうやって身につけるか、苦闘を続けます。
金メダルは、「レベル4」の高い技術と、演技の美しさを見事に調和させた結果でしょう。
その美しさの一つが「レイバック・イナバウアー」。バレエの4番ポジションのように、足を前後に広げつま先を外に向けて、銀盤を横断する技。荒川さんは、背中を大きく後ろに反らしながら滑ります。イナバウアーをする選手は、他にも居ますが、
大きく体を反らせたのは、荒川さんだけです。ジャンプ、スピン、ステップなどの技術点には反映されないのですが、大いに盛り上がる荒川選手の得意技。50年代に3度西ドイツ王者に輝いたイナ・バウアーが初披露したことにちなんで命名されたそうです。荒川さん、得点には反映されないにもかかわらず、本番でイナバウアーを加えて、自分のもっとも美しい姿を見せようというこだわり、大したものです。
この番組、NHKがこれまで密着取材してきた映像を軸に、金メダル獲得までの、彼女の知られざる長い戦いを描いていて、とても楽しめました。
また、後でインターネットで知ったのですが、最初の3回転ルッツ→3回転ループは直前にコーチと相談してループを2回転にしたとのこと。「どうしても挑戦したかった」という3→3回転のコンビネーションは、サルコーを跳んだ瞬間に「強引に3回転トゥループをつけたらダブル判定になる」と、空中で2回転に変更したとか。21日のSPでも3→3回転を空中で3→2回転に変更していました。恐るべき機転がその後の完ぺきな演技を生み、ジャンプの回転数だけでなく、序盤で予定のジャンプが抜けても、その後に自在に組み込み、ミスをカバーできたのでしょう。今大会直前にSP、フリーともに使用曲とプログラムを変更できたのも、この柔軟性があるからこそなのでしょう。
欧米各紙もトップ扱いで詳しく報じたとのこと。インターネットから見つけたいくつかを紹介します。
○ニューヨーク・タイムズ:「荒川は落ち着いているように見えた。それが金メダルをもたらした」と冷静さを評価しました。
○USAトゥデー紙:「日の出の強国が、年齢制限で出場できなかった15歳のライジングスター、浅田真央を欠きながら上位4人のうち2人を占めた」と日本勢の活躍を称えました。
○米スポーツ・イラストレーテッド誌:「荒川は最も上手にプレッシャーに対処した」と精神面の強さを評価しました。
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う〜ん、何度見ても、荒川選手のスケートは華麗で最高です。特に「イナバウアー」の場面はたまりません。
これから荒川さんの人生は、大変忙しい日々になると思いますが、決して周りに流されず、いつまでも「クール・ビューティー」な荒川さんでいて欲しいです。
とにかく本当におめでとう!!。そしてお疲れさまでした。
【ミニ知識】フィギュア・スケートのジャンプ
アクセルジャンプ:前に向いた状態で踏み切って、後ろ向きに着地するので、他のジャンプに比べると半回転多くなります。アクセル・パウゼンが1882年に最初に成功したジャンプです。
伊藤みどり選手や浅田真央選手の「トリプルアクセル」が有名です。
ルッツジャンプ:後ろ向きに左足で滑ってきて、そのまま後ろ向きで左足の外側のエッジで踏み切り、右足のトゥで氷を突いてジャンプ。
後ろ向きで着地します。アロイス・ルッツが1913年に成功したことでこの名が付きました。
フリップジャンプ:前向きから滑って行き、ジャンプする直前に後ろ向きになり、左足の内側のエッジで踏み切って、右足のトゥで氷を突いてジャンプ。
後ろ向きに着地します。
ループ:後ろ向きに滑り、両腕を開いて両足をクロスし、後ろにある右足のアウトサイドエッジを使って踏み切るジャンプ。
一見、両足で踏み切ったように見えるジャンプです。
トゥループ:前向きから滑って行き、ジャンプする直前に後ろ向きになり、右足のアウトサイドエッジで踏み切った瞬間、左足のトゥを突いてジャンプ。
フリップジャンプと間違えやすいが、フリップジャンプとは踏み切り足、トゥを突く足が逆になります。
サルコー:踏み切る直前にクルッとターンして後ろ向きになり、ターンの勢いと右足の振り上げる力を利用して、左足のインサイドエッジで踏み切ります。
安藤美姫選手の四回転はこのジャンプです。
【追】 帰国したときのインタビューで、彼女は「スケート以外にも挑戦していきたいし、金メダルによって挑戦の可能性がふえた」
と、言っていました。
なんて芯が強くて、誠実な人だろう。見習わなければ」と思いました。
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