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ウィーン国立歌劇場の「コッペリア」 (2002.2.16)
珍しいバレエの映像を見ました。ウィーン国立歌劇場の「コッペリア」です。劇場のライブではなく映画用に作られたスタジオ録画のようです。
踊りは、ウィーン国立歌劇場バレエ団で、演奏はウィーン交響楽団が担当しています。主演は、ウィーン国立歌劇場バレエのスザンヌ・キルンバウアー、カール・ムジル、ヴィリー・ディルトル。CS放送のクラシカジャパンが放送したものですが、コミカルな演技と美しい踊りで、楽しいひと時を過ごしました。
バレエ・コッペリアは1870年、パリ・オペラ座で初演されました。主演はジュゼピーナ・ボアッキ。彼女はこの時わずか15歳。まだバレエ学校在学中でした。しかし、気の毒なことに、この数年後に夭折してしまいました。
ボアッキが亡くなるのと同じ頃、戦争の影響でオペラ座は閉鎖され、その後一応復活するものの、長く低迷の時代が続きます。このバレエは19世紀のパリ・オペラ座の最後のヒット作だったのです。そのオペラ座が再び蘇えるのは、ディアギレフのバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)によってですが、ディアギレフの最初のパリ公演では、オペラ座を使わせてもらえなかったそうです。劇場側から「バレエのような低俗なものにオペラ座の会場は貸せない」と言われたからだそうです。その頃のフランスのバレエは、それほどまでに、レベルが落ちてしまっていたということなのでしょう。
さて、この「コッペリア」は、スワニルダとフランツの掛け合いのコミカルな演技や、人形たちのギクシャクした動き、そして主役やコールドバレエの軽やかなステップと、バレエの楽しさを最も味わえる傑作といえると思います。このウィーン国立歌劇場バレエ団のメンバーたちの演技も、超絶テクニックで驚かすようなところはないのですが、言葉がないのにまるでせりふを言っているように、自然と伝わってくる表現力がすばらしく、バレエを見ているというより、おしばいを見ているようで、とても楽しいものでした。そして、結婚式でも暁の踊り、祈りの踊り…と次から次へと繰り広げられる踊りにうっとり。ひと時、華やかな夢の世界にひたりました。
なお、スワニルダ役のスザンヌ・キルンバウアーというダンサー、バランスやグラン・フェッテに少し心もとないところがありましたが、なかなかコミカルないい味を出していました。
制作は1967年と古いものですが、映像は意外なほど美しく見やすいものでしたし、音も最近のものとは比べたら酷ですが、決して悪くはありません。
クラシカジャパンは、視聴料がとても高いのですが、こういう良いものを放送してくれると、高いだけのことはあると、納得しまいます。これからも、良い作品を放送してほしいものです。
バレエ「コッペリア」、[音楽]レオ・ドリーブ
[振付]ヴァーツラフ・オルリコフスキー
[出演]スザンヌ・キルンバウアー、カール・ムジル、ヴィリー・ディルトル、
ウィーン国立歌劇場バレエ団
[指揮]フランツ・バウアー=トイスル[演奏]ウィーン交響楽団
[制作]1967年
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