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眠りの森の美女〜ローズアダージョ:ローレン・カスバートソン (2012.07.24)
ローレン・カスバートソン(Lauren Cuthbertson)のローズアダージョの映像が、YouTubeに載っていましたが、この人、なかなかいい感じなのです。
カスバートソンは、コジョカルほどの可憐さや、ロホのようなバランス技術はないようだけれど、この二人とは、明らかに色合いがちがっています。
優雅というか、おっとりとして品がいいというか、控えめでやさしげな雰囲気なのに目をひいてしまうというか・・・、
幾分危なっかしくてハラハラさせられるところがありながら、音を十分に使ったゆったりとした踊りはとても魅力的なのです。
ローレン・カスバートソンは、ロイヤルでは数少ない生え抜きのバレリーナだそうですが、コジョカルやタマラロホのような出稼ぎ外人にはない育ちのよさを感じ、
どこか、往年のマーゴ・フォンティーンを思い出させるところがあります。
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ローズアダージョの場のお目当ては、アチチュードのバランス。ローレン・カスバートソンは、前半のバランスでは相当緊張していたようで、一人目の王子の支えの腕に力が入って細かくぐらぐら揺れながらも、意を決して手を離してしっかりアンオーまで腕を挙げたのは流石。二人目以降は安定して、まずは無難にこなしてニッコリ。
プロムナードを伴う後半のバランスの一人目。ギクギク揺れながらも、必死に重心を探してバランスを決めてサポーターの手を離した途端、後方へグラリ。思わず「ヤバい!!」とヒヤッとしましたが、とっさに二人目の手を握り締めて事なきをえました。
その後持ち直して、最後はアラベスクを美しく決め、観客の拍手を誘いました。緊張の為か、背中には汗がにじみ、ハラハラ、ドキドキ、手に汗を握ったところもあり、必死に踊る姿には、痛々しささえ感じました。
でも、この仕草が、却って新鮮で可愛らしくも思えたし、こんなにきつくても、終始柔和な表情を失わなかったは立派です。
そう言えば、批評家の佐々木涼子は著書「バレエの宇宙」(文芸春秋)の中で、「なにも片足で完璧にバランスを保つ必要はないのだ。
一人では立っていられないという心許なさこそが、オーロラ姫の初々しさを強調しているのだから。
そもそもそれが、本来の振付の意図だったのではないだろうか」と言っていますが、同感。
ローズアダージョはお見合いの場ですから、長時間ビクともしないバランスよりも、今にも崩れそうで、思わず支えてあげたいと思わせる、「不安定の中の安定」こそが、
不安定な心のオーロラ姫の理想の表現のような気がします。
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このバランスの部分。20年ほど前にシルヴィ・ギエムが長いバランスを見せて以来、これでもかと言うくらい長くバランスをとって技巧を誇示するダンサーを見かけます。
観客の方も、バランスの部分にさしかかると、妙に緊張し、まるでオリンピックのように肩怒らせた判定モードになってしまう。
こうなると物語りもバレエもそっちのけで、身を乗り出して観戦?するという感じになってしまう。あまりいい趣味とは言えません。
その最たるのがタマラ・ロホ。「凄いでしょう!!」と言わんばかりのビクともしない長〜いバランスですが、
曲芸のようで、ビックリするだけで美しいとは思えない。→
その点、ローレン・カスバートソンのバランス、ロホに比べると、かなり危なっかしいのですが、この心許無さがかえって初々しく感じられました。 You Tubeに載っているローズアダージョの映像は、2011年のロイヤルバレエの「眠りの森の美女」の一部のようですが、是非、全幕をDVDで発売して欲しいものです。 |
眠りの森の美女〜 ローズアダージョ;
14/03/20 XIX International ballet festival MARIINSKY
オーロラ姫:ローレン・カスバートソン
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