40年以上も前の学生時代に見た映画ですが、再度観る機会があり、改めて感動しました。
インドシナ戦争中にパイロットだったピエールは少女を射殺したと思いこみ、その後の墜落のショックから記憶喪失性となっていました。ある日、ピエールは一人の少女に出会う。少女の名はフランソワーズといい、寄宿学校に入れられるところでした。二人は父と娘を装い、毎日曜日に森で会い、2人だけの楽しい時間を過ごしました。フランソワーズは、ピエールと将来は結婚したいと幼い夢を抱くようになります。ピエールには、看護師の恋人マドレーヌがいますが、マドレーヌは、二人の姿を見て、その純粋さに自分の嫉妬心を恥じるのでした。
はじめのうち、周囲の眼には、ピエールとフランソワが父と娘に映っていたのですが、次第に異様な雰囲気を感じるようになります。
クリスマスの晩、ピエールは友人の家からツリーを持ち出し、森の小屋で2人だけのクリスマスを祝います。フランソワーズはその時、初めて本名を打ち明けました。「私の名前はシベール。ギリシャの女神の名なのよ」。「シベール、きれいな名前だ!」ピエールはそう呟きます。
だが、周囲の眼には、ピエールが少女を殺そうとしていると映ってしまい、警察に通報します。駆けつけた警官は、ピエールを射殺してしまうのです。フランソワは警官から名前を聞かれますが、「私には名前なんてないわ!。私は誰でもないのよ」と泣き叫び悲痛に訴えるのです・・・。
そんなストーリーですが、2人の純粋な愛が描かれていて、しかも青年の恋人は世間の眼と違って、彼の少女への愛も理解し、彼を愛し続けていくのです。それだけに、純粋で孤独な二人、愛くるしいシベールの表情や仕草、悲しい結末、いつまでも色褪せないモノクロームな映像の美しさ・・・。フランス映画の珠玉の名作ではないでしょうか。
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映画 シベールの日曜日
原題 Cybele ou les Dimanches de Ville d'Avray
原作 ベルナール・エシャスリオー
監督 セルジュ・ブールギニョン
音楽 モーリス・ジャール
(キャスト)
ピエール:ハーディ・クリューガー
フランソワ:パトリシア・ゴッジ
マドレーヌ:ニコール・クールセル
1962年製作、フランス映画
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