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ドン・キホーテ〜パ・ド・ドゥ:アナニアシヴィリ、ウヴァーロフ  (2010.9.1)

ニーナ・アナニアシヴィリとアンドレイ・ウヴァーロフが踊ったドン・キホーテの映像があります。アナニアシヴィリのバレエコンサート(2001年9月)のアンコールで踊ったものです。アンコールということで、女性はレオタードに簡素なチュチュ、男性もTシャツにタイツというラフなスタイル。アンコールは本番の舞台が無事終えることができたことに対する出演者の観客へのお礼です。本番で精神的にも肉体的にも疲れきっていますから、アンコールでは気楽に踊れる軽い演目を選ぶのが普通ですが、このアンコールは、こともあろうに、これ一つ踊るだけでも超重労働のドン・キホーテのパ・ド・ドゥでした。 このドン・キホーテのパ・ド・ドゥは最初のアダージョから最後のコーダまで見所が一杯ありますが、ニーナはどれ一つ気を抜かず、全力を振り絞って踊っていたのには感動しました。まずアダージョ。とてもウヴァーロフとの優雅な優雅な舞でした。
極めつきは終盤近くのアチチュードのバランス。片足のポアントでたって10秒近くもの驚異的な長さで立ち続けました。しかも上体も後ろに伸びた足もビクともしないのです。観客席からどよめきと大きな拍手が起きると、「ヤッタ!!」と言わんばかりの満面の笑みを浮かべました。グラグラしながら必死にバランスをとっているバレリーナの姿も可愛らしくて魅力的ですが、これだけ完璧なバランスの技を見せつけられると、バレエは曲芸?、と思ってしまうほどです。 ニーナ自身もインタビューで「これは、西側に出て学んだ手法です。ロシアでは曲芸的でそんなにいいことだとは思われていない。私も全幕ではやりませんが、お祭り的なコンサートでは、観客に喜んで貰えますから。今回はこれまでで最長かな?・・・」(雑誌AERA)と言っていました。いかにニーナが観客へのサービスを大事にしているか分かります。
それに加えてコーダでのグラン・フェッテ。これも軸足が全くぶれず完璧に回りました。 バランスにせよ、フェッテにせよ、これが本番を終えた後のアンコールだから凄い。疲れを微塵も感じさせず、楽々踊るニーナ・アナニアシヴィリのスタミナ。人並みではありません。

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