バレエ「ドン・キホーテ」はモスクワのボリショイバレエ劇場から依頼されて、マリウス・プティバが振付したもので,スペインの作家セルバンテスの同名の小説から登場人物がとられています。
この作品の中で騎士物語にとりつかれた「ドン・キホーテ」が空想の中で作りあげた理想の姫君ドルシネアを追い求めて旅にでます。
港町バルセロナではドルシネア姫そっくりのキトリと床屋の青年バジルが熱い恋をしています。
駆け落ちした二人とそれを追ってキトリの父ロレンツォ,ドン・キホーテらが風車小屋のそばのジプシーの野営地にやってきます。
ジプシー達は彼等を人形芝居でもてなしますが,物語の世界と現実を混同している「ドン・キホーテ」は芝居の中の悪者をやっつけようと、背後にそびえる風車を悪の化身とまちがえて突進して気を失ってしまいます。
深い夢の中で「ドン・キホーテ」は追い求めていた理想の姫,ドルシネア姫に会います。
このシーンは夢の場といわれ、ドルシネア姫、森の女王、そしてキューピットが美しい踊りを競います。文字通り「夢」であり、とても美しい場面なのです。
中でも、ドルシネア姫の踊りは美しく、私が好きなものの一つです。
ドルシネア姫は、通常、キトリ役のバレリーナが二役で踊ります。
白鳥の湖のオデットとオディールのように、一人のダンサーが違う役をどのように踊り分けるかを観るのも楽しみです。
でも、ダンサーの体力面等の理由から、キトリとは別のダンサーが踊る場合もあります。
確かに、この後に続く、キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥは、リフト、バランス、グランフェッテと体力的にも精神的にも、相当きついものがあり、ドルシネア姫を踊って疲れているダンサーがさらにこれを踊るのは、非常に、大変なことでしょう。
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渡邊順子さんは、このドルシネア姫について、以下のようなコメントを下さいました。
「多分 このドルシネア姫は23歳頃に踊ったものだと思います。
私が「ドン・キホーテ」の全幕を経験したのは高校生の時でした。
発表会で踊り子の役を踊りました。
その後、メッセレル先生に出会いメッセレル先生が日本のバレエ団にドン・キホーテを振り付けした先生だった事を知りました。
日本ではじめてキトリを踊られたのが谷桃子先生です。
私も谷バレエ団新春公演で「ドン・キホーテ」に出演した経験がありますが、今思うと、とてもいい思い出になっています。
ドルシネア姫は私の性格にあった役だった様にも思います。でも 踊り子を踊った事は私の女優的な感性が磨かれた役だった様にも思います。
色々な役をこれからも演じていきたいです。」
なお、このときのキトリは佐々木想美さんが演じています。パ・ド・ドゥでは笑顔をみせる余裕もないほど緊張しているようですが、一生懸命に踊る姿がとてもいじらしく、フレッシュで魅力的です。
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注)文章および画像は、渡邊順子さんのお許しを得て掲載させて頂いております。無断で複写複製を禁じます。
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