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ブフォネス/エガッセの「眠りの森の美女」   (2003.1.5)

ABTのフェルナンド・ブフォネスがデジレ王子を踊った「眠りの森の美女」のビデオがあります。ブフォネスがチリのサンティアゴにあるバレエ団の公演に客演した時のようで、収録年月日は1982年。オーロラ姫は、マリセ・エガッセというダンサーが踊っています。
エガッセは、あまり若くないようですし、かなりの緊張なのか、オーロラの出からローズアダージョは、表情がかなりこわばったような感じです。オーロラ姫独特の笑顔が見られません。踊りも、ちょっとぎこちないような感じで気になりました。一つ一つの踊りを必死になんとかこなしているという感じで、これはこれで、懸命に努力しているいじらしさも感じられますが、もう少しリラックスして、流れるように踊って欲しいと思いました。ローズアダージョのバランスでは、バランスをとるのに精一杯で、おそるおそる手を離すという感じでハラハラしますし、最後のプロムナードの四人目ではバランスに失敗、あげた左足を下ろして、ブーレのようになってしまいました。これをバッチリ捉えているカメラも意地悪な気がします。
 
ブフォネスの踊りは見事です。ジャンプも高いし、回転の着地も安定しています。
それに、パートナーへの気配りも丁寧なようで、幻想の場、そして、グランパドゥと、エガッセをしっかりとサポートしています。エガッセも彼のサポートに安心したのか、ローズアダージョでコチコチだった彼女も、徐々に調子を上げてきたようで、グランパドドゥのアダージョでは、フィッシュダイブ(パ・ド・ポワッソン)もビシッと決め、笑みも浮かんできました。
 
かって、ブフォネスは、バルナ・バレエフェスティバルで金賞を獲りましたが、このとき、同じ金賞を獲った森下洋子さんとパドドゥを踊ったことがあります。確か、1975年頃、新宿厚生年金ホールだったと思いますが、ブフォネスの絶妙なサポートに森下さんは最高の踊りを披露、興奮した観客が立ち上がって「ブラボー!!ヨーコ、ブラボー!!ブフォネス」と叫んでいたのを覚えています。
 
演出の面では、オーロラ姫の幻想の場のコスチュームがチュチュではなく、クララやジュリエットのような衣装なのは、違和感がありました。第3幕で、くるみ割り人形のトレパークが挿入されていますが、同じチャイコフスキーの作品とはいえ、これもチョッと場違い???
 
そんなわけで、このビデオ、ブフォネスに尽きるというところでしょうか

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