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パリ・オペラ座のドキュメンタリ「エトワール」         (2003.2,11)

「エトワール」とはフランス語で星の意味し、バレエ界の頂点といわれるオペラ座の中で、最高位の踊り手にだけ与えられる称号です。
300年以上の歴史をもつこのバレエの殿堂の舞台裏に、初めてカメラが入った映画「エトワール」は、2001年に全国で封切られてロングランとなった話題作ですが、早くもDVDが発売になりました。
パリ・オペラ座バレエは、最高位のダンサー「エトワール」を頂点にして、プルミエ・ダンスール、スジェ、コリフェ、カドリーユで成り立つ完璧な階級社会です。団員になるだけでも大変なのに、この一握りの選ばれた者たちの世界の中で、それぞれのダンサーは、日々、超人的な努力をこなし、残酷な生存競争に耐えながら、明日を夢見ます。
一方、一度、エトワールの座についた者は、歳月を負うごとに芸術への理解力が深まっていくのと裏腹に、肉体の衰えという相容れないパラドックスに悩みます。「若さの芸術」と言われるバレエは、ある意味では最も残酷な芸術です。
この映画は、こんなパリ・オペラ座のバレエダンサーたちのドキュメンタリーです。
 
厳しい世界のなかで、最高位という重責を負ったエトワールの生き方と、エトワールを目指して日々踊りつづける若きダンサーたちの姿勢に感動しました。
バレエを続けることと、結婚し家庭を持つことのジレンマに悩むダンサーたち、あるいは、トゥ・シューズのなかで血豆をつぶし、抗生物質を飲みながらステージに上がるカドリーユたち。いつ怪我で踊れなくなるかもしれない不安、・・・など、驚くほど赤裸々に描かれています。
 
主人公はパリ・オペラ座に関わる全ての人たち。その中には、かって資生堂のコマーシャルにでていたミテキ・クドー(工藤美笛)さん、オペラ座唯一の日本人バレリーナ、藤井美帆さんも含まれています。
私は、見終わった後で、美しい闘志を燃やし、だれよりも努力しようとするダンサーたちから、勇気と情熱を与えてもらったような気がしました。
バレエに関心ない人にでも必ず感動するに違いない秀作ドキュメンタリーだと思います。
 
エトワール・オフィシャルサイト

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