【トップページへ戻る】

21世紀のエトワールたち     (2006.10.17)

シャンゼリゼ劇場でのガラ・パフォーマンスの映像がNHKのBSで放送されました。2005年9月、若手スターたちが世界からパリに集い、妙技を競ったもので、今回で第8回目だそうです。実際のステージは、もっとたくさん踊られたようですが、放送は55分ほどにカットしたもの。再放送をして、たっぷりとすべてを見せて欲しいものです。
どの演目も、出演前のダンサーの姿をモノクロで映し、そのまま舞台へ出ていって踊る姿はカラーで紹介・・・というもの。出を待つダンサー達の緊張した様子が映し出されて、ドキュメンタリーのような感じでした。ダンサーを真上から映すなど、カメラワークも凝っていますが、身体の部分的なアップが多すぎ、バレエの映像としては、どうかなと思いました。バレエは芸術で、体全体の動きから、美しいハーモニーが醸し出されるものですから、部分的なアップではなく、ちゃんと全身の動きを写して欲しいと感じました。
 
(1)グラン・パ・ド・ドゥ
ロッシーニ作曲、クリスティアン・シュプック振付
アリシア・アマトリアン、ジェイソン・レイリー(シュツットガルト・バレエ)
クラシックのグラン・パ・ド・ドゥのドタバタのギャグバレエですが、結構楽しめました。アマトリアンのギャグがとてもうまい。眼鏡をかけ、力抜いて、だらけたように見せていますが、スタイル抜群で、とてもきれいです。ギャグではない、普通の踊りは、さぞ素敵でしょう。
 
(2)「シルヴィア」 〜パ・ド・ドゥ
ドリーブ作曲、フレデリック・アシュトン振付
ゼナイダ・ヤノフスキー、フェデリコ・ボネッリ(ロイヤル・バレエ)
アシュトンのロイヤルバレエ版のシルヴィアで、優雅で美しい踊りです。
出だし、ボネッリの肩に乗って登場するヤフスキーは、緊張していたのでしょう。表情がこわばっていました。踊り進むにつれ表情がやや穏やかになっていきましたが、最後まで緊張がぬぐえない感じでしたが、懸命に踊る姿に魅了されました。足がとてもきれいで、バランスのポーズも美しく見栄えがしました。
 
(3)「ドン・キホーテ」 〜パ・ド・ドゥ
ミンクス作曲、マリウス・プティパ振付
ホルナ・フェイホ、ホアン・ボアダ(サンフランシスコ・バレエ)
アダージョがカットされ、ヴァリエーションから。「ドン・キホーテ」はアダージョにこそ、見せ場がたくさんなのに残念でした。
フェイホはとても可愛らしく、元気のよい飛んだり回ったり跳ねたりのキトリによく似合ってました。コーダでは、扇を持ったままダブルも入れてのグランフェッテは華やかで、かつエレガントで見事でした。
 
(3)「マ・パブロワ」 〜タイスのパ・ド・ドゥ
マスネ作曲、ローラン・プティ振付
ルシア・ラカッラ、シリル・ピエール(ミュンヘン・バレエ団)
ラッカラの細い体ながら、しなやかな動きと表現力の豊かさにうっとり。溜息が出てしまいました。美しいマスネの曲にのって、羽のように軽くふわっとリフトされ、宙で舞っているように見えました。顔の表情も豊かで、食い入るように見てしまいました。
 
(4)パラディオ〜パ・ド・ドゥ
ジェンキンズ作曲、ミハイ・バブスカ振付
コリナ・ドゥミトレスク、オヴィディウ・マテイ・ヤンク(ブカレスト国立歌劇場バレエ団)
この踊りは理解できませんでした。筋肉のぶつかりあいのような振り付けであると同時に、全体に暗く、何を表現しようとしているのか、わかりませんでした。女性はトゥ・シューズですが、タイツは履かず素足のようで、やや下品に感じました。
 
(5)「海賊」 〜寝室のパ・ド・ドゥ
ドリーゴ作曲、マリウス・プティパ原振付、アンナ・マリー・ホルメス改訂振付
イリーナ・ドヴォロヴェンコ、マキシム・ベロツェロコフスキー(アメリカン・バレエ・シアター )
ドヴォロヴェンコは容姿が美しく、素敵なパ・ド・ドゥでしたが、アダージョだけでなく、ヴァリアシオンとコーダが欲しかった。また、このパ・ド・ドゥでは見せ場がなく、やはり有名なアリとメドゥーラのグラン・パ・ド・ドゥで観たかった。
 
(6)「失われた時を求めて」 〜パ・ド・ドゥ
サン・サーンス、ローラン・プティ振付
ルシア・ラカッラ 、シリル・ピエール(ミュンヘン・バレエ)
「マ・パブロワ」同様、ラッカラのものすごい柔軟性。しなやかな動きと表現力の豊かさにうっとり。脚は美しいし、とても表情も良かった。音楽も美しいし、気に入りました。天井から見下ろすカメラワークは好きではありませんが、この踊りに関しては、気になりませんでした。
 
[ 制作: 2005年9月, シャンゼリゼ劇場 (パリ) ]

【トップページへ戻る】