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バレエ「ドンキホーテ《~森の女王のヴァリエーション イ・ウンウォン  (2015.07.01)

バレエ「ドンキホーテ《第1幕「夢《の場面~森の女王のヴァリエーションは、「ドン・キホーテ《(ミンクス作曲)の追加曲としてリカルド・ドリゴが作ったものです。 「森の女王《のエレガントさを強調するために、キープするところはきっちりキープしてメリハリつけ、上半身のしなやかで大きな動きで脚を先導し、エカルテ・ドゥヴァンやグラン・バットマンの極限の開脚のびっくり技、最後は究極の難技イタリアン・フェッテと、 バランスと回転のオンパレードで、ミスも目立ちやすく、途中でメロメロ・・・破綻となることも多くバレリーナ泣かせの踊りでもあるのですが、それだけにコンクールやバレエコンサートにもよく取り上げられます。 とても見栄えがするヴァリエーションなので、「ドンキホーテ《以外に、アダンのバレエ「海賊《の第1幕や第3幕夢の場面のメド-ラのソロにも使われています。
このヴァリエーションのお手本とも思えるくらいの映像がYouTubeに載っていました。 踊っているのはイ・ウンウォン(Eun-won Lee 이은원)、韓国国立バレエの若きプリンシパルです。 長い脚のスリムな均整の取れたプロポーション、 表情は穏やか愛らしく、踊りは、丁寧で柔らかく上品で、タメるべきところしっかりタメて、回るところは無理なくスムーズに回って・・・。 こんな素敵なバレリーナが居るんだ・・と、うっとりとして眼を離せませんでした。 全く力みがなく自然で、アティチュードとアラベスクのポーズが惚れ惚れするほど美しくうっとりでした。
出だしのアティチュードでは、アンオーの腕がまろやか可愛らしく、優雅なアラベスクでは、まっすぐ伸びた綺麗な脚にうっとり。 続く、脚を垂直に跳ね上げたエカルテ・ドゥヴァンでは、グッと堪えて決めた華麗なバランスのポーズにハッと息を呑みました。 さらに、脚は挙がるだけ高く挙げたほうが良いとされるグラン・バットマン。高々と蹴り上げた脚は無理なく爪先までまっすぐ伸びて、開脚の角度は180度超。 こんなに高く脚を挙げても軸足が殆どグラつかずトゥの先のズレもなく柔和な表情で軽々とこなしたのは流石です。 しかも爪先から手の指先まで神経が行き届いていて、惚れ惚れするほど美しい。 ここまで楽々と自然に、高々と脚が挙がるのは股間接が完全に開く証拠。完璧なアン・ドゥオールが身についているのでしょう。
極め付きは、イタリアンフェッテ。片手アロンジェのアラスゴンドとアンオーのアティチュードの組み合わせの連続というこの難しい技。 今にもトゥが崩れそうでハラハラ・ドキドキと手に汗握る人も多いなか、イ・ウンウォンは振り上げた脚はほぼ垂直でピタリと止まります。 片足のポアントで立ったままで、ほぼ垂直に高く上げた脚をピタリと止め、続く回転でも全くバランスを崩さず、美しいアチチュードのポーズをグッと堪えて美しく決めるという、 並々ならぬ技術の高さが分かります。 16回のイタリアンフェッテでは、メロメロになって12回位しか回れない人もいるけれど、イ・ウンウォンは頑張って最後の16回まで回りきりました。 イタリアンフェッテをこれだけ正確に美しく踊れたのは素晴らしいこと。人並みはずれた技術の習得は、日頃のたゆまぬ精進の賜物でしょう。彼女の努力に敬朊します。
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イ・ウンウォンは、しっとりとして清楚で慎ましやかな雰囲気。可憐で知的な優しさ、優雅な気品・・・、バレリーナの資質をすべて備えた魅惑の舞姫。 かと言って、プリンシパルにありがちな、うまさを鼻にかけるような傲慢な感じは微塵もない。 繊細でしなやかな身のこなしには、ほのかな気品が漂い、見終わったとき心の中に花が咲いたようなホッとした幸せな気持ちになる。 フワッとまろやかな弧を描く腕、トゥの先までスッキリ伸びた長い脚・・・、 わずかに青みかかった白色のチュチュがとてもよく似合う。 ポアントでの足の運びは軽やかで、まるでチュチュの裾から光り輝く泡を撒き散らしているよう。 手の指の先から、伸びやかな爪先まで細かく神経が行き届いて、繊細な輝きが香り立つ。まさにクラシックバレエを踊るために生まれてきたと思われるくらい。 難しい箇所に差し掛かっても、柔和な笑顔を失わず、愛くるしく上品な雰囲気が漂うバリエーションでした。 韓国国立バレエには、王御所キム・ジヨン(Ji-young Kim)を筆頭に、キム・リフェ(Li-hoe Kim)、パク・スルギ(Seul-ki Park)といった大物プリンシパルが君臨しています。 「若さの芸術《と言われるバレエ。優れたプロポーション、上品で優雅な踊りが武器の1992年生まれの若きイ・ウンウォン。 弱肉強食のバレリーナの世界の中で、一層大きく羽ばたいてくれることを願っています。

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