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2007年フィギュア世界選手権女子シングル   (2007.3.25)
「浅田真央:ショートプログラムの大切さを知った」に思う

あっぱれ、安藤美姫・金メダル!!!。やってくれましたね。16歳・浅田真央!!!。 2007年フィギュア世界選手権女子シングルのテレビ中継、ハラハラ、ドキドキの連続ながらも、とても楽しいひとときでした。
ショートプログラムで2位だった安藤美姫選手、フリースタイルで自己ベストをマークし、合計点で世界女王の座を手にしました。ショートプログラム5位と出遅れた浅田真央選手がフリーでトップの成績を上げ、銀メダルとなりました。 一方、ショートプログラムトップの韓国の金妍児(キムヨナ)はフリーで2度転倒し3位に。でも追われる者の重圧の中で、ヘルニアの痛みに耐えながらの186点は凄い、手足の伸びやかさや細かな表現力は日本勢にはない美しさがありました。 金妍児が一層高難度のジャンプを身につけたら・・・、安藤美姫、浅田真央をも凌ぐのでは。安藤、浅田もうかうかしてはいられません。
フィギュア世界選手権で日本女子が優勝したのは、伊藤みどり(1989)、佐藤有香(1994)、荒川静香(2004)に次いで4人目とのこと。かつて上位は欧州や米国が定番だったこの種目、3位の金妍児を含めて、初めて上位をアジア勢の独占という快挙でした。
安藤美姫さんの金メダルは、ボロボロになったトリノ五輪の挫折から這い上がってきた彼女の努力の結晶、心から祝福したいし、感動と勇気を与えてくれた彼女に感謝したいと思います。 でも、浅田真央選手の後だったせいなのか、選曲のせいなのか、失敗はなかったけれど、もう一味ダイナミックさが欲しかった気がしたのは私だけでしょうか。

何より、私は浅田真央さんがインタビューで語った「ショートプログラムの大切さを知った」という言葉が印象に残りました。 ショートプログラム本番の前日、浅田真央さんは翌々日のフリー演技の練習をしていたそうです。ショートプログラムでのミスはあり得ないという、絶対の自信があったからでしょう。でもこれが落とし穴になり、ショートプログラムのジャンプでまさかの失敗、5位と出遅れました。 フリーで最高点を挙げ、一気に巻き返しを行ったものの、ショートプログラム2位の安藤さんがフリーでも2位の得点をマーク。浅田真央さんは合計得点でわずかに安藤美姫さんに及びませんでした。浅田真央さんの「ショートプログラムの大切さを知った」は、彼女の正直な気持から、自然に出た言葉だと思います。
偉そうなことを言って叱られるかもしれませんが、今回浅田真央さんがトップを逃したことは、むしろ若い彼女に良い結果をもたらすような気がします。もし今回彼女がトップになっていたら、「ショートプログラムの大切さ」を知らずに終わってしまったことでしょう。絶対の自信の中のわずかな心の隙間に忍び寄る悪魔の恐ろしさを一生知り得なかったかもしれないのです。 かって、バレエダンサーのアダムクーパーは「舞台には魔物がいる」と言いました。どんなに自信があっても、本番では何が起こるかわからない、一時も疎かにできないということです。
2位が決まった直後、悔しさのあまりトイレに駆け込んで泣きじゃくったという浅田真央さん。16歳の高校生の少女が身をもって体験したのは、一時の心の緩みにつけ込んだ悪魔が仕組んだ罠の恐ろしさでした。 でも、謙虚に「ショートプログラムが大切」と反省している浅田さんは流石です。 彼女は本当に良い経験をしたと思います。浅田さんはこれをきっかけに一層大きく成長していくに違いありません。
2010年のバンクーバー冬季オリンピックでは、今回は3位に甘んじた金妍児もさらに技を磨いてくるに違いありません。 対する浅田真央さん、今回の苦い経験をバネに一層の成長を期待したいと思います。

  2007年フィギュア世界選手権女子シングル結果
   1:安藤美姫(日本)195.09、   2:浅田真央(日本)194.45
   3:金妍児(韓国)186.14、     4:キミー・マイズナー(米国)180.23
   5:中野友加里(日本)168.92、  6:カロリナ・コストナー(イタリア)168.92

2007年世界フィギュアスケート選手権東京大会のHP
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