【トップページへ戻る】

シンデレラ:フォンティーン、ソームス、サドラーズウェルズバレエ (2004.11.20)

フォンティーンのシンデレラのDVDが出ました。1957年にテレビ放送されたものだそうで、約90分です。当時のテレビはモノクロ放送でしたから、当然この映像もモノクロです。出演者は、フォンティーンの他、王子がマイケル・ソームス、意地悪な姉にフレデリック・アシュトンとケネス・マクミランという豪華版。ロバート・アービング指揮によるコヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団による演奏です。当時は、まだロイヤルバレエの前身のサドラーズウェルズバレエです。
マーゴ・フォンティーンは1919年生まれですから、1955年というと38歳。
マーゴ・フォンティーンは、アシュトン振付のほとんどの作品の初演で主役を踊っていますが、1948年にこのシンデレラが初演されたときは、モイラ・シアラーに主演を奪われました。フォンティーンはこの時怪我をして踊れなかったのです。フォンティーンはシンデレラの役を奪われたのが相当悔しかったようで、その後、徹底的に怪我に気をつけ、引退するまで全く怪我をしなかったそうです。モイラ・シアラーは、映画「赤い靴」で一躍スターになったのですが、その後数本の映画への出演しましたが、いつの間にか存在を忘れられてしまいました。一方、劇場一筋のフォンティーンは、ルドルフ・ヌレエフと出会い、その後20年以上も第一線で活躍していました。
 
フォンティーンのシンデレラは、はじめの部分のけなげな少女役でも、踊りも演技も可愛らしいのですが、チュチュに着替えて舞踏会の場になると、俄然輝いてきます。フォンティーンとソームスのグランパドドゥ。これは、本当に美しく、うっとりさせられます。長年コンビを組んで来たソームスのサポートは適切で、フォーンティーンは、安心しきって身を任せている感じです。アダージョではパの一つ一つが正確で、ふるえる感情が伝わってきます。
一幕から二幕への切り替えの場に、メール・パーク、アネット・ペイジ、スヴェトラナ・ベリオソヴァ、エリー・フィフィールドというバレエ団のスター・バレリーナが季節の精(The Seasons)として出演し、彩りを添えています。
 
このDVDはハイライトですが、フォンティーンの出の場面は、ほとんど収録されています。1957年のものなので、画質は良くはありませんが、不世出のバレリーナ、マーゴ・フォンティーンの妙技を知ることが出来る貴重な映像だと思います。せっかくDVDで発売したのですから、デジタル・リマスタリングによって、画質を改善してくれたらなお良いと思います。「ローマの休日」のように、昔の名画が、デジタル・リマスタリングによって、驚くほど鮮明に蘇った例もあるのです。なお、このDVDはリージョン1で、米国用DVDプレーヤー向けのもので、一般的な国産のDVDプレーヤーでは見ることができません。ぜひ、リージョンフリー(All Code)にして、日本製のどのプレーヤーでも見れるようにし、一人でも多くのバレエファンが、フォンティーンの魅力を味わって欲しいものです。
 
    Margot Fonteyn, Michael Somes, Frederick Ashton, Kenneth MacMillian,
    Sadler’s Wells Ballet (Royal Ballet). Choreography by Frederick Ashton.
    Music by Prokofiev. Conducted by Robert Irving.
    Broadcast of April 29, 1957. Approx. 90 min. B&W

【トップページへ戻る】