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パリ・オペラ座のバレエ「幻想交響曲」 (2002.4.7)
とても珍しいバレエを見ました。ベルリーズ(Hector Berlioz (1803-1869))の幻想校交響曲を名振付け師レオニード・マシーンがバレエとして振り付けたものです。
パリ・オペラ座バレエ団のブラルビ、ガイダ、ルテステュ、他が出演しています。
バレエは、幻想交響曲の全楽章を用いています。そこで、作曲者ベルリオーズについて少し。
彼は、医者の息子であったことから、父親の跡を継ぐべく大学で医学を学んでいました。だが度重なる革命、動乱のため大学が閉鎖され、以前より興味を持っていた音楽へと進路を変更することとなります。ベルリオーズの生きた時代は、フランス革命、産業革命という二大革命以後、新興市民が台頭し始め、絶対的な権力を有していた王族の権威は失墜していきました。まさに激動の時代でした。そのため、今までは宮廷に雇われることで生活していた音楽家たちは職を失いました。そして、宮廷外の音楽家たちが自立していきました。ベルリオーズは22歳のとき、イギリス劇団のシェイクスピア劇を観ましたが、その時に彼が、その劇団の女優、ハリエット・スミスソンに激しい恋心を抱いたことが、この作品を生み出すきっかけになったというエピソードがのこされています。
彼はこの作品で、交響曲に表題と物語を付加したことで、その物語を表すために、新しい演奏技法や、楽器の使い方、効果音的な音、を用いています。
レオニード・マシーンは、この表題と物語を実にうまく表現していて、ベルリオーズの意図を忠実にバレエに置き換えたと言えると思います。音楽だけ聴いているより明らかに面白く、約一時間があっという間に過ぎてしまいます。
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「幻想交響曲」作品14 :ある芸術家の生涯の挿話
第1楽章:夢・情熱
若い音楽家は、恋人を見いだせなかった昔の、そこはかとない憂愁や喜びを思い出しています。突然、激しい恋の熱情がよみがえり、燃え上がり、心は悩み、嫉妬に怒り、またやさしい愛、と、繰り返されます。
第2楽章:舞踏会
舞踏会の華やかな宴のなかで、彼は再び愛する人に出会います。
第3楽章:野の風景
芸術家は野辺で二人の羊飼いが角笛の曲を吹くのを聞く。その羊飼いのデュエット、周囲の情景、そよ風のなかの梢のそよぎ、ようやく感ぜられる希望の前途、それらすべてが芸術家の心を今までになくやすらわせ、彼の心は明るくなってきます。しかし、その時、彼女のことが思い出され、「もしも彼女が去ったら」という予感が彼の心を悩まします。
第4楽章:断頭台への行進
若い芸術家は夢のなかでその恋人を殺してしまいます。死刑の宣告が下り、彼は刑場にひかれていきます。刑場へ向かう行進は、厳粛に、そして、重い足音を伴いながら進んでいきます。
第5楽章:サバトの夜の夢
若い芸術家は、自分が悪魔の饗宴にいて、彼を葬いにきたあらゆる魔法使いや妖怪変化にとりかこまれているのに気づきます。奇怪な騒音、うめき声や突然の叫びや、それに答えるような他の叫び声などが聞こえてきます。そして、悪魔の饗宴に、彼の恋人が現れます。彼女は悪魔の踊りを踊り、彼は息絶えてしまうのです。
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