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シルヴィ・ギエムの世界 (2006.3.19)
この映像は、以前「美しき妖精 シルヴィ・ギエムの肖像」というタイトルで新書館の「フェアリー」で取り扱っていたようですが、現在は廃盤になっています。先日、CS放送のクラシカ・ジャパンで放映されました。シルヴィ・ギエムがパリ・オペラ座ダンサーだった頃の彼女の日常をカメラが追っています。
最年少の19歳でパリ・オペラ座のエトワールに昇進したシルヴィ・ギエム、その後パリ・オペラ座から飛び出し、更なる飛躍を求めてロンドンのロイヤルバレエに移籍するのですが、この映像はパリ・オペラ座時代の練習風景や舞台シーンで構成されています。
冒頭は、エキゾチックなメロディにあわせて踊るヌレエフ版「ライモンダ」。ギエムの神々しいほどに美しいステージです。続いて、若きローラン・イレールと踊る「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレベイテッド」や本番を一週間後に控えた「ライモンダ」のリハーサル等の映像を経て、痛む足のテーピングをはがしてトゥシューズを履き、レッスンに向かうシーンで終わります。
感動的なのはギエムが「ライモンダ」のヴァリエーションをトゥシューズの足の痛みを我慢しながら練習する場面。ポアントとドミ・ポアントが続くこの踊り、本当に辛そうです。トゥで立って踊り続けることで足への負担の大きさがまざまざとわかります。足の痛みにたまらず踊りをやめてしまった彼女に「途中でやめるな」と容赦ない振り付け師の声。けなげにも、もう一度踊り始めたものの、「ふくらはぎが痛くて」と座り込んでしまうギエム。「今日はもう踊れない」という彼女に、「本番に間に合わなくなるぞ」、「出たいのだろう」と振り付け師。「もちろんです」と応え、翌日のレッスンを約束するギエム。今にも泣き出しそうな表情が気の毒に思うほどで、観ているこちらまで足が痛くなる感じにさせられます。
クラシックバレエのダンサーは、痛みに耐える強い意志がなければ、勤まらないのだなと敬意を表したくなります。改めて、感動的な舞台の裏には、こんな隠された痛みや努力があるのだということを知りました。
Sylvie Guillem at work
[出演]シルヴィ・ギエム、ローラン・イレール、シャルル・ジュド、パリ・オペラ座バレエ団他
[監督]アンドレ・S・ラバルテ、[制作]1988年、
[収録内容]
1.イントロダクション
2.「ライモンダ」(グラズノフ)より、振付:ルドルフ・ヌレエフ
3.「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」(トム・ウィレムス)リハーサル、
振付:ウィリアム・フォーサイス/共演:ローラン・イレール
4.「4つの最後の歌」(R・シュトラウス)より、振付:ルディ・ファン・ダンツィヒ
5.「ラ・ルナ(月)」(J・S・バッハ)より、振付:モーリス・ベジャール
6.「シンデレラ」(プロコフィエフ)リハーサル、
振付:ルドルフ・ヌレエフ/共演:シャルル・ジュド
7.「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」(トム・ウィレムス)
音振付:ウィリアム・フォーサイス/共演:ローラン・イレール
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