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グラン・パ・クラシック〜ヴァリエーション:高木奈津子     (2015.6.23)

慎ましやかで気品に満ちたグラン・パ・クラシック〜ヴァリエーションがYou Tubeに載っていました。 この踊りは 「これが踊れたら、怖い者なし」と言われるほど若い女性ダンサーの憧れの踊りであり、 コンクールでは定番ですし、バレエコンサートや発表会でも絶大な人気を誇っています。 踊っているのは高木奈津子さんというダンサー。とても丁寧で、繊細で、なめらかな透明感にあふれた踊りに、うっとりでした。

このグラン・パ・クラシック〜ヴァリエーション、女性ダンサー泣かせの超絶技法の連続で、軸足は右の人も左の人もいますが、片手を腰に、一瞬ポーズをとり、続いて両手を腰に片足一本で巧みに回ります。 今にも崩れてしまいそうなところもあり、見る方は思わず身を乗り出し、固唾をのんで見つめてしまいます。 終盤近くに最大の難関は、足でリズムを取って、はずみを付けて踊る27連続のルルヴェ。 「体力の限界に挑戦するような辛さ」、「無事最後まで踊りきれますように!!」と恐れられているほど、とてもキツく、次第にかかとが落ちてきてメロメロになりがち。 体力と精神力の限界に挑戦するようなパです。 高木奈津子さんも、キツそうな感じのところもありましたが、柔和な笑顔を絶やさず、最後は高速シェネをピタリと止めて、見事に踊りぬいたのは偉い。 無事踊り終わって、大きく息を弾ませて、ホッとした笑顔のレヴェランス。 「お疲れ様!!」と声をかけたくなりました。 グラン・パ・クラシックというと、しルビー・ギエムのアクロバットまがいの超絶技法が有名です。高木奈津子の踊りはギエムのような度肝を抜く曲芸的なものではないけれど、心なしか不安を感じさせながらも、ふくよかなエレガンスを感じさせる美しい踊りで、私はギエムより、こちらの方がずっと好きです。 ただ、27連続のルルヴェの19回以降のクライマックスの部分では、振り上げた左足が90度程度しか上がらなかったのはチョット。ギエムは上げすぎだけど、少なくとも120度位は上がるようになって欲しいと思うのは贅沢でしょうか。

高木奈津子は、昭和音楽芸術学院の卒業公演で白鳥の湖の主役を踊ったほどの実力者()。卒業後スターダンサーズバレエで踊り、退団後はバレエ教室の講師をしているようです()。 気品溢れる清楚でスリムな美しい容姿に加えて、慎ましやかで静かな物腰、繊細な身のこなしの彼女・・・、さぞかし素敵な先生なのでしょう。一層大きく羽ばたいてくれることを願っています。

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