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針山愛美「満足したことはない」に思う       (2002.7.1)

TBSテレビ「情熱大陸」。この番組は、過去にも上野水香さんの特集を放送をしてくれて、バレエ好きの私には、とても嬉しい番組です。
この番組で、先日、バレリーナ・針山愛美さんの特集が放送されました。
 
針山愛美さんは、現在アメリカのボストンバレエ団に籍を置くバレエダンサー。25歳。幼くしてバレエを始め、16歳でボリショイバレエ団に留学、その後、ドイツやアメリカで活躍している日本の若きホープです。
彼女はこの度、ロシアに招かれて、「白鳥の湖」全幕の主役を踊ることになりました。
本番当日、劇場へ来た彼女は仰天したそうです。ステージがなだらかに前に傾斜しているのです。観客からよく見えるようにしてあるのですが、クラシックバレエでは、わずかな床の傾斜でもバランスに影響がでるし、高速で動くとき滑りやすい。
開幕直前までトゥシューズを選び、床にあわせて履き心地を確かめていた彼女の様子から、傾斜した舞台で踊る彼女の不安な気持ちを推し量ることができました。
「これに決めた」と意を決してステージに飛び込んでいった彼女、オデット、オディールを順調に踊り進んで行きました。難しいオディールの32回のグランフェッテも見事に踊り抜き、いよいよ終幕。ここで傾斜した舞台への不安が的中してしまいました。生まれて初めて舞台で転んでしまったのです。でも、ミスにもめげず、最後まで見事に踊りぬいた精神力。目の肥えたロシアの観客も、暖かい盛大な拍手をおくっていました。
このステージ、さぞ観るものに感動を与えたのでしょう。終演後、来年もこの同じステージへの招聘が決まったのです。彼女はまた一歩大きく前進しました。
 
毎日が発見です。今まで満足したことがない。これからも満足することはないでしょう。」といっていた彼女。この気持ちこそ、彼女を今日まで支え、これからも頑張っていこうとする彼女の原動力になっているような気がします。
「結婚はしたい。子供も生みたい。でも、子供を、バレエ・ダンサーにさせたくない。」、プロのダンサーの厳しさを知っているからでしょう。
 
この公演の直後、米国ミシシッピ州で行われたのジャクソンでのコンクールに彼女の姿がありました。そして、彼女は日本人で唯一人決勝に進み、Rovert Jofferey賞を獲得したのです。
自分に甘んじず、常に前を見て、新たな挑戦をする彼女。「満足することはない」、この言葉の重みが感じらます。
 
「白鳥の湖」を踊り終えたとき、「さすがでしょ!!。最後の転けるなんて。」とあっけらかんと言って笑っていた針山さん。その直後、コンクールに乗りこんで、堂々、賞を奪い取ってしまった彼女。
よくよく、"本番に強い"のでしょう。これは、彼女の大きな武器だと思います。
針山愛美さん!、くれぐれも怪我に気をつけて、頑張って下さい!!。

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