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ドン・キホーテ~パドドゥ:Hee Won Cho Byul Yun  (2018.2.7)

グラン・パ・ド・ドゥは、男女が奏でるハーモニーが醍醐味ですが、Hee Won Cho 조희원とByul Yun 윤별 という韓国の若々しいパートナーのお互いが協力し合う微笑ましさに溢れたドン・キホーテ~グランパドドゥ~アダージョの映像が、YouTubeに載っていました。 コメントには、VIBE USA Finals Best Pas de Deuxとあるので、VIBE USA 2016の映像でしょう。
キトリを踊っているHee Won Choは、クラシック・チュチュがとても良く似合う小柄な可愛らしいバレリーナ、Byul Yunは優しさの中に力強さを感じさせるダンサーです。 のりが良く、どちらかというとアクロバティチック的な要素の強いドン・キホーテ~パ・ド・ドゥですが、 アダージョでは、二人の息はぴったりで、Hee Won Choはしっとりと、しかも爽やかに踊って、うっとりでした。 このアダージョでは、特にByul Yunのリードのうまさが光っていました。バランスでは力強くHee Won Choの腕を握り、ピルエットではウェストに優しく手を添えて、Hee Won Choが回りやすいように気を配っているのがわかりました。 Hee Won ChoもByul Yunを信頼しきって、ほんとうに踊りやすそうでした。
アダージョのアントレのリフトでは、空中に高々と上げられたHee Won Choの懸命の開脚は180度超。 「オーッ!《という観客の驚嘆を誘いました。こんなに開くと下品になりがちですが、Hee Won Choのそれは、とても品が良く美しかった。 何よりHee Won Choを高々と頭上に上げ、わずかに足元がふらつきながらも、必死に6秒間もキープしたByul Yunの努力に感激しました。 パ・ド・ドゥのアダージョは女性が主役、男性は支え役です。鋭いポアントの先だけで立って、今にも倒れそうなアラベスクやアチチュードなどのきわどいポーズは、男性の支えがなければ女性は何もできません。 女性を力強く支え、もし女性がバランスを崩してもすぐ助けてあげ、女性に最高の美しさを発揮させる男性が良いパートナーなのだと思います。Byul Yunの踊りを見ていると、この女性への「思いやり《を強く感じます。 ジャンプなど自分の踊りは素晴らしいのに女性のサポートは今一つという男性も見られる中で、Byul Yunは、ほんとうにパートナーへの気配りと暖かさを感じました。 パ・ド・ドゥのアダージョで、女性をしっかり支え、女性に上安を与えず、女性を思い通りに躍らせるByul Yunのような男性、これこそ本当のダンスール・ノーブルなのでしょう。
ヴァリエーションでのHee Won Choは、本当に可愛らしい。可愛いだけでなく決めるところはしっかり決めて、とても端正に美しく踊っていました。 痩せぎすのバレリーナが多い中、幾分ふっくらした体系が新鮮で、真紅のクラシックチュチュの裾から覗く太腿からは、ほのかな色気を感じられるけれど少しも嫌らしさがなく、むしろ清々しいくらい。 クラシックバレエでは色気はご法度と言われるけれど、こんな爽やかなお色気だったら、そんなことどうでも良いとという気持になる 時折見せるほのかな微笑みがとても魅力的で、こんな表情を見ていると、こちらも嬉しくなってしまう。しかも懸命に踊る誠実さがにじみ出て、見る者をこんなに幸せにしてくれるバレリーナって、本当に素敵な職業だなあと思ってしまった。
最後のコーダ。ここでもHee Won Choは素晴らしかった。見せ場のフェッテに入る前の助走のピルエットは、なんと6回転。普通はせいぜい1~2回転なのに、これは驚異的。 再び「オーッ!!《という観客の驚嘆の叫びを誘いました。 コーダは軸足がズレてきて苦しそうで、途中グラついてハッとしたけれど、懸命に堪えて持ち直したのは流石。最後まで回りきって、観客の拍手を誘いました。
Hee Won Cho & Byul Yun - South Korea - Don Quixote   2016 VIBE USA Finals Best Pas de Deux   こちら
同じコンビによる、別のドン・キホーテの映像も、YouTubeに載っていました。リフトは約3秒だったけれど、フィッシュダイブもバッチリ決まって見事。 二人の技術の高さと、パートナーシップの良さを感じさせます。コーダでは、Hee Won Choは、トリプルを連発。さすがに最後には疲れきって回転が遅くなったけれど、拍手喝采でした。 これも素晴らしくて楽しめます。
라이징스타 K-Arts 윤별 조희원 돈큐파드되
2016년 한예종 뉴욕라이징스타 K-Arts 공 한국공연 발레   こちら
なお、Hee Won Choの舞台をまとめた影像もYouTubeに載っていました。
登録者がHee Won Choになっているので、自分でアップしたのでしょうか。  こちら

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