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日本人キャストによる歌劇「ヘンゼルとグレーテル」のレーザーディスク(LD)があります。見直してみて、改めて、このオペラの楽しさを満喫しました。
このオペラは、グリムの童話をもとにエンゲルベルト・フンパーディンクが19世紀後半に作ったオペラですが、ワーグナーの影響が見られ、子供向けとはいえ、大人も結構楽しめる不朽の名作ですが、これは、冨田勲がプロデュースしたシンセサイザーの伴奏による公演のライブです。 実はこのレーザーディスクは、15年ほど前購入したのですが、可愛そうなことに一緒に買ったモーツァルトのオペラ「羊飼いの王様」があまりに素晴らしかった為に忘れられて、レコードキャビネットの端に眠っていました。 何気なしにキャビネットから取り出して再生してみて、こんな楽しいものだったのかと改めて驚いた次第です。 若いソプラノの吉岡小鼓音さんとメゾソプラノの白木美貴子さんの二人はとても可愛らしくて、グレーテルとヘンゼルにぴったりです。コケティッシュな丹波勝海の魔女も見事です。また眠りの精では佐藤しのぶが声だけですが出演しています。歌詞は日本語ですが、不自然さも無くとても楽しめました。 なによりも冨田勲のシンセサイザーによる伴奏が見事です。 シンセサイザーというといかにもデジタルぽく思えてしまいますが、そこは世界の冨田勲。全く不自然でなく、むしろこのオペラの幻想的な雰囲気を存分味あわせてくれます。 オーケストラボックスに指揮者のタクトが見えますが、演奏はオーケストラではなくシンセサイザーですから、コンピュータの指示に従って、歌手に歌の開始やテンポの指示を出しているのでしょう。 渋谷のオーチャードホールでのライブですが、ステレオの広がりも十分で会場の雰囲気も見事にとらえています。 このレコードは廃盤になっているようですが、DVDで再発売してくれると嬉しいです。 |
出演者
ヘンゼル:白木美貴子 グレーテル:吉岡小鼓音 魔女:丹波勝海 母親グルトルート:上泉りく子 父親ペーター:北川潤 眠りの精(声のみ):佐藤しのぶ 露の精:平松英子 世田谷児童合唱団、二期会合唱団 企画・音楽監督・シンセサイザー演奏:冨田勲 1992.12.13 オーチャードホール |
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