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海賊〜パドドゥ:平田桃子、Aaron Robison  (2015.10.17)

とても素敵な海賊の映像がYouTubeに載っていました。踊っているのは、平田桃子とAaron Robisonというダンサーです。 平田桃子は、小柄ながら美しいプロポーションの持ち主で、黒鳥・オディールのようなパワフルな役が得意と聞いていましたが、この海賊でもグランフェッテのような回転技で力強さを見せてくれました。 Aaron Robisonはとても背が高いダンサーで、平田桃子との背の釣り合いは今一ながらも、パ・ド・ドゥのパートナーとして適役に感じました。
 
この海賊のパ・ド・ドゥは、本来は奴隷のメローラ、海賊の首領コンラッド、その手下アリが加わったパ・ド・トロワですが、ガラ・コンサートでは、コンラッド抜きのメローラとアリのパドドゥとして踊られることが多いようです。女性のエキゾチックな情感に加え、とくに男性には高度なテクニックを要求されます。 最初のアダージョ、女性も大変ですが、サポートの男性は体力的にもっと大変。ポアントで立った女性を倒れないように支えたり、頭上高くリフトしたり・・・。アダージョに続く男性のバリエーションの体力を温存するためにアダージョで手を抜く不届きな男性もいるようですが、Aaron Robisonは、平田桃子を、力強くしっかりと支えて的確にサポートしていました。 平田桃子は最初はかなり緊張しているようでしたが、Aaron Robisonを信頼して身を任せているようで、次第に硬さが取れてきて、終盤には笑顔も見せる余裕もでてきたようです。 踊り終わったレヴェランスでは、て、微笑ましいアダージョでした。 このアダージョで特に美しかったのが、Aaron Robisonにウェストを支えられて回る、平田桃子の中盤の5回と終盤の10回のピルエット。 男性にウエストを支えられて回るとき、回転が止まりそうになり、サポートの男性が無理やり女性の腰を回すことがあるけれど、見苦しいことこの上ない。 平田桃子は最後まで回転のスピードが全く落ちず、Aaron Robisonは軽く彼女の腰を支えているだけで、とても美しかった。 サポートの男性に頼らず自分で回り切れるのは素晴らしいことです。日頃の苦しい稽古の賜物でしょう。YouTubeに彼女のピツエット10回の稽古の映像が載っていました。 ()
次の男性のバリエーション。Aaron Robisonは、アダージョでのサポートの疲れも見せず、ジャンプは全く乱れずバッチリと決めました。また、続く女性のヴァリエーション。平田桃子も、ゆったりとして優雅な踊りがとても美しく、終盤の難しい高速のシェネを寸分野の乱れもなく完璧に回り、最後ピタッと決めて拍手喝采を受けました。 「やった!!」という感じの満面の笑みが本当に美しい。 最後のコーダでも、Aaron Robisonは、跳躍も高く、回転も衰えず、見事に踊り抜きました。スタミナはたいしたものです。 平田桃子も負けじとメリハリのある踊り方で、グランフェッテの前半には高速のトリプルに果敢に挑戦し16回目位で観客の拍手を誘い思わず口元が緩みました。後半はさすがにシングルだったけれど32回最後までを完璧に回りきったのは素晴らしかった。

平田桃子は、2013年にバーミンガムロイヤルバレエのプリンシパルになったばかりの若きホープ。Aaron Robisonもヒューストン バレエ団の若きファーストソリスト。 二人のピッタリとあった微笑ましいパートナーシップを見ることが出来ました。楽しいパドドゥでした。 バーミンガムロイヤルバレエには、10年以上も前からプリンシパルになり、現在も第一線で踊っているベテランの佐久間奈緒がいます。 佐久間奈緒のしっとりとした叙情的で繊細な踊りに比べると、平田桃子は軽やかなフットワークと柔軟な身体、優美なアームスの動きという鮮烈な印象。 若さの芸術と言われるバレエ、そろそろ体力的に辛くなってくる年齢の佐久間奈緒に変わって、バレエ団の中心になるのも近いでしょう。とても期待しています。

Le Corsaire Pas de Deux Aaron Robison 2012/05/23 Momoko Hirata and Aaron Robison perform Le Corsaire Grand pas de deux at the Liceu, Barcelona

Momoko Hirata -La Belle 2014/01/26 in Prix de Lausanne2001
2001年の第29回ローザンヌバレエコンクールでの平田桃子の踊り。


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