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ライモンダ〜第1幕夢の場のヴァリエーション:久田尚香    (2017.8.30)
とても素敵なライモンダのヴァリエーションがYouTubeに載っていました。2013年のローザンヌ国際バレエコンクールでの久田尚香さんの踊りです。 出だしの両足ポアントで立った姿がドキッとするほど美しく、なんて素敵なダンサーなのだろうと眼が離せませんでした。 このヴァリエーションライモンダがジャンとの愛を夢見る場面の踊りなので、情感を込めて踊る必要がある上に、初めはピケアラベスクからドゥミポアントを通ってプリエに入り、次はアラベスクにあげた足が軸足となり、プリエについていた足を引き寄せます。 上半身は揺りかごのような動きで歌いあげるように表情をつけながら、足はきちんと正確に動かして決めなくてはならないという技術的にも難しい踊りです。 久田尚香は、小柄ながらスッキリと伸びた手足が美しく、さわやかな笑顔の可愛らしいバレリーナ。 しっとりとした踊りは、愛を夢見る乙女のヴァリエーションに相応しい。柔和で可愛らしい表情が魅力的ですが、時折振りをこなすのが精一杯という感じの不安げな表情の見られ、それがかえって新鮮で夢の場にはむしろ似つかわしい気がしました。 何より、やわらかくて綺麗で…丁寧に踊っていることが印象的でした。
このヴァリエーションはローザンヌ国際バレエコンクールで菅井円加が踊ってよく知られるようになったのですが、菅井円加の踊りは好きにはなれなかった。 菅井円加は堂々として貫禄があって全くミスが無く上手い思ったけれど、愛を夢見る場面の踊りとしてはチョッと??と感じたところがありました。 フィニッシュをピタリと決めたのは見事だけれど、 夢見る乙女の踊りなので、むしろ頼りなげな位の方がこの場にはふさわしい。その点久田尚香の踊りはしなやかで優雅で、つま先から手の指先まで神経が行き届いていて 、しっとりとした曲の振りにぴったりで夢の場の相応しく思いました。 フィニッシュでは、両足を揃えてポアントで立って静止する時、僅かにつま先が乱れてピタリとは決まらなかったけれど、歯を食いしばって必死に堪えて破綻無く終えたのは立派。 これを気にしてかレヴェランスでは笑顔がなかったけれど「こんな些細なミスはご愛嬌。お疲れ様!」と声をかけたくなりました。

久田尚香は佐藤朱実バレエスクール、マンハイムバレエアカデミーで学び、2013年9月よりカールスルーエ州立バレエに所属しているとのこと。 可憐で知的な優しさ、清楚で溢れる気品、伸びやかな爪先など、本当の意味でのクラシックバレエのダンサーだと思います。今後の活躍が楽しみです。
Naoka Hisada - 2013 Selections - Classical variation PrixdeLausanne

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