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ティーンエイジャー最後のオペラ「羊飼いの王様」  (2002.5.6改)

歌劇「羊飼いの王様」は、1775年モーツァルト19歳の時、オーストリア皇太子がザルツブルクを訪問した際、歓迎の祝祭のために作られたものです。
シドンの町を占領したマケドニアの王アレッサンドロは、羊飼いアミンタをその町の王にし先王の娘タミーリと結婚させようとします。しかしアミンタには約束の人エリーザがいます。アミンタは王位と愛のジレンマに立たされますが、訳を知ったアレッサンドロの配慮で解決、アミンタとエリーザが結ばれ、王位に就くという物語です。
 
主役の羊飼いアミンタは、カストラート(去勢された男性ソプラノ)によって歌われたので、ソプラノのパートになっています。当時カトリックでは女人禁制であり、教会ではボーイ・ソプラノまたはカストラートが使われていました。
このオペラの演奏時間は約2時間で、有名な「フィガロの結婚」や「魔笛」などに比べると小粒ですが、全編に散りばめられた美しい曲により、音楽劇としてよりむしろ、コンサート・アリアを聴くような楽しさがあります。
なかでも第二幕でアミンタが歌う愛のアリア「私が愛するならいつまでも変わるまい」(第10番ロンド・アンダンティーノ変ホ長調)は最も情感あふれる美しい曲で、以降作られた、「魔笛」のパミーナや「フィガロの結婚」の伯爵夫人を思わせる傑作です。
 
私のコレクションは、レーザーディスクとCDですが、レーザーディスクの方が断然素晴らしい。これは、ザルツブルクで毎年モーツァルトの誕生日(1月27日)前後に行われる演奏会でのライブですが、ビデオの画面も美しく、この曲の祝典的な雰囲気を十分出した楽しい演奏です。
(配役)羊飼いアミンタ:ブラーシ(S)、アミンタの許婚エリーザ:マクネアー(S )
    先王の娘タミーリ:ヴァーミリオン(Ms)、
    マケドニアの王アレッサンドロ:ハドリー(T)
    シドンの貴族アジェーノレ:アーンシェ(T)、
    ショウ (solo vn) 
    ネヴィル・マリナー指揮アカデミーセントマーチン・インザフィールズ
    1989年ザルツブルク州立劇場「モーツァルト週間」におけるライブ


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