【山口's HP TOPへ戻る】

ドン・キホーテ:イェーガー、ボッカ、日本バレエ協会   (2007.10.1)
1989年にNHKテレビで放送された、ドン・キホーテ(全幕)の映像があります。
主演はABTからのゲスト2名で、シェリル・イェーガーとフリオ・ボッカ。 イェーガーは小柄ですし、ボッカも大柄なダンサーではないので、ひどく浮き上がることのないゲストで、他の日本のダンサーとのバランスがよくあっていました。
シェリル・イェーガーのキトリは、活発な娘さんという雰囲気が良く出ていました。第3幕のグラン・パ・ド・ドゥのアダージョでは、ボッカと良く合っていて、真っ逆さまに落ちるフィッシュダイブもピタリと決めました。バランスも長く、拍手がわきました。コーダのグラン・フェッテもクルクルと高速で勢い満点でした。第2幕ドルシネア姫では、しなやかさという点で私の好みではなかったものの、とにかく技術を見せるという点では凄いと思いました。若いボッカも、熊川哲也顔負けの飛ぶ、回るで楽しめました。
日本人キャスト陣については、森の女王の鈴木敬子が印象的でした。日本人離れした、長身で見栄えがしました。ただ、見せ場にイタリアン・フェッテが無かったのが残念です。 高部尚子は、初々しく可愛らしいキューピッドでした。 第3幕のグラン・パ・ド・ドゥの第1ヴァリエーションの中村かおりは、軽快でくっきり輪郭のはっきりした踊りで安心して見てられました。フィニッシュもピタッと決めました。 第2ヴァリエーションの佐々木三夏は、ほっそりとした美しいダンサー。 相当緊張していたようで表情が強ばっていました。「頑張って!!」と応援したくなるような頼りなげな踊りでしたが、これがかえって、初々しい魅力的を感じました。 ほかに、キトリの友人の踊りを、下村由理恵、井神さゆりが踊っていました。
20年近くも前の映像で、画質もあまり良くないのですが、結構楽しめます。NHKにはマスターテープが残っているでしょうから、このような貴重な映像は、最新のデジタル技術で鮮明に蘇らせて、再放送やNHKエンタープライズからのDVDの販売などをしてくれると有り難いです。
 
キトリ / ドゥルシネア姫:シェリル・イェーガー、バジル:フリオ・ボッカ
ドン・キホーテ:小原孝司、サンチョパンサ:漆原宏樹、
踊り子:大塚礼子、キトリの友達:下村由理恵、井神さゆり
ジプシー:今間千佳子、森の女王:鈴木敬子、キューピッド:高部尚子
ヴァリエーション:中村かおり、佐々木三夏
演出・振付:谷桃子
堤俊作指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
1989年3月 東京文化会館

【山口's HP TOPへ戻る】