グラズーノフ作曲のライモンダは、伯爵令嬢ライモンダと十字軍の騎士ジャン・ド・ブリエンヌの二人の恋物語。
少女ライモンダが次第に大人の女性へと変わっていく物語りです。
その中でも一幕の中の夢の場は、ライモンダとジャンが夢の中で愛を確かめ合う場面ですが、
ライモンダのヴァリエーションは、後から追加された曲ですが、ヴァイオリンが奏でる旋律がとても美しい音楽です。
美しいメロディに乗って確かなポワントワークが要求されるヴァリエーションで、
最初のピケアラベスクからドゥミポアントを通ってプリエに入り、今度はアラベスクにあげた足が軸足となり、プリエについていた足を引き寄せてきます。
上半身はゆりかごのように揺れる動きで歌いあげるような表情のつけ方をしながら、足はきちんと正しいことをやらなくてはならないという難しい踊りです。
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2012年のローザンヌ国際バレエコンクールで菅井円加が踊ってよく知られるようになったヴァリエーションですが、
菅井円加のこの踊りは、あまり好きにはなれませんでした。
確かに菅井円加は貫禄がありミスも無く、踊りはとてもうまいと思ったけれど、この踊りはライモンダがジャンとの愛を夢見る場面のものなので、あまり堂々とすることなく、むしろ、しなやかに優雅に踊って欲しかった。
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その点、2015年のローザンヌ国際バレエコンクールでのアン・ジミン(Ji Min Ahn)の踊りが印象に残りました。
舞台の袖で出を待つアン・ジミンは、目をつぶったり開けたりして、緊張しきっていたようでしたが、「頑張れ!!」と先生?に肩を叩かれ、軽く頷いて、意を決して出て舞台に出て行きました。
アン・ジミンは、チョッと切ないような表情と、触ると壊れてしまいそうなガラスのようなはかなさが夢見るライモンダに相応しい。
タメるべきところしっかりタメて、回るところは無理なくスムーズに回って、 スッキリ伸びたトゥが清々しく、見ているだけでうっとりしてしまう素敵な踊りでした。
時折「失敗しないよう、正確に、落ち着いて」と自分に言い聞かせるように幾分不安げな表情も見せ、思わず「頑張って!」と応援したくなりました。
ピルエットを終えて、フィニッシュは両足を揃えてポアントで静止する難しいポーズ。つま先のズレを必死に堪える真剣な表情の美しさに、「良かったよ。お疲れ様!」と労ってあげたい気持ちになりました。アン・ジミンはソウルのSunhwa Arts High Schoolの若い学生とのこと。このコンクールでは予選で落ちてしまったけれど、今後の成長が楽しみです。
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Ji Min Ahn - 2015 Prix de Lausanne Selections - Classical variation
Ji Min Ahn - Sunhwa Arts High School, Seoul, South Korea
- Raymonda, Tableau du Reve Act 1 - Alexandre Glazunov - Marius Petipa
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