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カルメン:渡邊順子   (2000/9/16)
注)渡邊順子さんの踊りの感想です。順子さんのお許しを得て掲載させて頂きました。
 
渡邊順子の「カルメン」のビデオ・カセットがあります。 このビデオを観て驚きました。こんなに素晴らしいとは思ってもみなかったからです。
 
渡邊順子はクラシックバレエのダンサー。でも、お母さんになられてからは、あまり踊っておられないと聞いております。 それなのに、こんなに見事に踊れるなんて、素晴らしいことです。 これは、順子さんが、あるバレエ団の発表会へ客演した時のもののようです。 私はこの彼女の踊りを見て、とてもさわやかですがすがしい気持ちになりました。
 
この踊り、渡邊順子のソロ、男性のソロ、二人のデュエットという構成をとっていますが、男性のソロの部分は短いので、順子さんはほとんど出ずっぱりで、かつ、トウで立ったまま踊る踊りが大部分。体力的にも、大変きつい踊りのように見うけられました。 また全体にゆっくりとしたテンポで、ポーズを決める部分が多数あり、神経を使いそうで、精神的にも大変疲れたのではないでしょうか。 その為か、終盤近くには、彼女の背中には汗が光っていました。
最初のソロ。舞台の中央に進み出た渡邊順子。奇抜なコスチューム。でもスリムな体にとても良く似合っていました。いっせいに観客の熱い視線を浴びて緊張されたのでしょうか。いくぶんか表情に堅さがあるように感じました。 でも男性のソロが終わり、二人のアダージョに入った頃には、緊張もほぐれてきたようです。時折、美しい笑みがこぼれてきたようでした。 カルメンというとフラメンコ。もっと情熱的なものと予想していたのですが、順子さんの踊りは、これに反して、むしろ淡白なくらい、さわやかなものでした。 私は、とても嬉しくなりました。こんなスタイルのカルメンを望んでいたからです。
 
すっきり伸びたポアント、細やかな指先の動き、神経の行き届いた腕の形・・・・。 渡邊順子は、とても丁寧に踊っていました。 思い切って180度近くも後ろに足をあげたアラベスク、高々とさし上げられたリフト、フィッシュダイブのよう弓なりなポーズなど、テクニック面でも難しそうな振り付けが多いのに、彼女は、正確に、しかもとても上品に美しく踊っていました。さすがです。 クラッシクバレエの基礎を徹底的に身に付けているからでしょう。 さわやかで、自然にあふれでる気品をお持ちです。しばし、うっとりと見つめていました。 踊り終わってのレヴェランス。ホットしたのでしょう。にこやかな笑顔が素敵でした。 「とても良かったね!!」と、話しかけたくなりました。
渡邊順子さんは次のように言っています。 『私のためのカルメンですから、プティでもアロンソの振り付けでもありません。それこそ、私だけのオリジナルです。だから、音楽もアダージョは夜想曲を使いました。 私のカルメンは情熱的だけでなく、愛が踊りに見えるでしょ。舞台の上ではお互い、いい気分でした』。 ビデオを見ていると、順子さんのこの気持ちが滲み出てくるような気がします。 さらに、『この「カルメン」は出産して、子育てして、本当にひさしぶりに男性と踊ったんです。も〜、トゥ・シューズを履くのもひさしぶり。振り付けが頭に入らないの・・・・。頭ではなんとなく、わかるけど何も出来ない。・・・・。でも頑張ったと 自分では思っています』。 と謙遜していらしたけれど、どうしてどうして、順子さんだからこその、とても魅力的な踊りだと思います。 観客に最高の自分を見てもらおうと懸命に頑張っている気持ちが伝わってきて、見る方もとてもいい気持ちになるのです。 こういう気持ちにさせてくれるバレリーナって、めったに居ませんよね。 こんなダンサーにこそ、「頑張ってね!!」と心から応援したくなるものです。
渡邊順子さんは、幼稚園に通うお嬢さんのお母さん。 忙しい家事の合間に執筆をし、バレエのレッスンを続けています。
 
渡邊順子さん!!。バレエはあなたのかけがえのない財産ですね。 この財産を大切にして下さい。 そして、いつまでも、私たちに夢をあたえてくれる素敵な天使であって欲しい。 陰ながら応援させて頂きます。


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