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コッペリア〜第2幕:渡邊順子   (2001.10.27)
「コッペリア」は人形を主題にした楽しいバレエです。原作=ドイツの作家ホフマン、台本=シャルル・ニュイッテル、作曲=レオ・ドリーブで、1870年5月25日 パリ・オペラ座にて初演されました。初演での主役・スワニルダはジュセッピーナ・ボッツァッキでした。当時下火になってきたバレエの人気を再起させようと、企画されてから上演まで、3年の月日がかけられたそうです。
第二幕コッペリウスの部屋の場面では、コッペリアになりすましたスワニルダが、人形のギクシャクした動きを表現しなければならず、とても難しいところです。
 
この映像は、JUNさんこと渡邊順子さんが19歳の時のものだそうです。彼女は、当時ロイヤルバレエに留学することを 考えていたそうですが、このビデオがこの留学を考えるきっかけとなったそうです。 確かにこのビデオを見ていると、渡邊順子さんが並々ならぬ才能をお持ちのことがわかります。 踊りだけでなく、マイムなどの演技力がとても優れているのです。 でも、彼女は、ご家庭の事情で留学を断念されてしまったのです。もしこの時ロイヤルバレエに留学していたら、 今頃は・・・・、と惜しいような気がします。
 
このビデオで順子さんはとても素敵なスワニルダを演じています。 精魂込めたとても正確な踊りとコミカルな演技、人形のギクシャクした動きもとても上手に表現しています。 そして、いくぶんふっくらした可愛らしい笑顔に、気品漂う美しい容姿が魅力的です。
 
こんなわけで、渡邊順子さんは、「コッペリア」への思い入れがひときわ強いようで、以下のメッセージをよせて頂いております。 ご紹介させて頂きます。
私が初めて「コッペリア」と言う作品に出会ったのは小学6年生の時でした。 「コッペリア」でスワニルダのお友達(パ・ド・シス)を踊ったのですが舞台の練習中に足を捻挫して舞台本番は整形外科の先生に楽屋で痛み止めの注射をうって頂いて本番を踊りきりました。  
その後19才の春「コッペリア」の主役(第2幕)を踊りました。 メッセレル先生が私の写真をみて「本当に貴方の足は素晴らしい!」と誉めてくださり、ロイヤルバレエ学校に留学しないかと言うお話を頂いたのがこの舞台でした。アンコールに手拍子がもらえるほど、ダンサーたちが頑張った舞台でした。
その年の秋 、宮城県芸術際という舞台で色々なバレエ研究所合同で「コッペリア」を上演した際にスワニルダのお友達を踊りました。 私の時代はローザンヌコンクールで有名だったバレリーナと言えば力丸純奈さんでその純奈さんがわざわざ楽屋を訪れて下さり「良かった」と言って下さった事がものすご〜〜く嬉しかったです。
その後、橘バレエ学校でバレエを学びました。 バレエ学校に入学して3年目でソロを踊らせて頂きました。牧バレエ団のコッペリアはとても振り付けが素敵でTVで牧バレエ団の「コッペリア」を見た時一番素敵な踊りが「祈り」でした。 私にとって「祈り」のソロを踊れる事は3幕のパ・ド・ドゥを踊る事よりも価値のある事でした。
「祈り」を踊るために知り合いのバレエの先生(谷先生)に相談にのって頂いた事もありました。 『パ・ド・ブレを細かく踏んで〜〜〜〜〜』
本番当日はパ・ド・ブレを細かく踏み心を込めて祈りを踊りました。 舞台挨拶で牧先生が舞台の中心に歩いていくほんのわずかな瞬間に「良かった」と言って頂けた事が嬉しかったです。
この『祈り』を踊った事で私の中の何かが変わりました。 単身でミラノに行きメッセレル先生のレッスンを受けてその後、谷先生から「瀕死の白鳥」を学ぶ道が開けていったのです。ソロを踊る事の目覚めと言うのが「コッペリア」の祈りとの出会いだったのかもしれません。
 
渡邊順子さんは「色々なダンサーが色々な思いでバレエを続けていると思います。 私のコッペリアへの思い出が、何かのお役にたてば幸いです」と結んでいます。

渡邊順子さんは現在バレエ教室を開催、子供達にバレエを教えています。 さぞかし、素敵な先生なのでしょう。いつかまたステージに立たれた順子さんの姿を拝見したいものです。

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