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魅惑の美の競演「キーロフ・クラシックス」         (2002.5.11)

とても素敵な番組を観ました。CS放送クラシカジャパンで放送された「キーロフ・クラシックス」です。アスィルムラートワ、レジュニナ、ルジマートフといった、キーロフ劇場の花形ダンサー達が繰り広げた美の競演に、夢の一時を過ごしました。
1991年制作ですから、10年以上も前の録画ですが、画質はとても良く、何より、彼らの最も脂ののりきった時期の初々しく溌剌とした踊りが見られるのが嬉しい。バレエは「若さの芸術」とまで言われますが、本当に、「若いということ」の素晴らしさを感じます。もっとも、年齢を積み重ねて技術を超越した円熟のスター達の踊りも、それはそれでいぶし銀のような良さもあるのですが・・・。
 
演目は、幻想的な「ショピニアーナ」に始まり、最後は華麗な「パキータ」で締めくくります。
「ショピニアーナ」は、一糸乱れぬコールドバレエがとりわけ素敵です。アスィルムラートワのソロやザクリンスキーとのパ・ド・ドゥも美しく、重力を感じさせない軽やかな舞は、風の精そのものでうっとりです。
「ペトルーシュカ」では、セルゲイ・ヴィカリフのペトルーシュカが素晴らしい。かつてのニジンスキーもこうだったのかなと、思ってしまいます。ただ全体にはバカ騒ぎ的なところが多くてまとまりがなく、あまり良いとは思えませんでした。
「ハーバーのアダージョ」は文字通り、バランスなど難技の連続。エレナ・エフェティーワは汗びっしょりの熱演です。 
「海賊」のパドドゥはリューホフ・クナコワとルジマートフ。ルジマートフのダイナミックな踊りが素晴らしい。
「妖精人形」は、レジュニナが本当の人形のようで可愛らしい。
「大理石の娘」は民族衣装風のチュチュを着た娘達の踊りが、とても楽しい。エレナ・パナコワ、美しいバレリーナです。
「パキータ」は、ユーリア・マハーリナ、コンスタンティン・ザクリンスキーが中心ですが、他のソリスト達もとても素敵です。
 
この映像、市販されていないと思いますので、この放送はとても貴重です。CSクラシカジャパンの視聴料はかなり高いのですが、それなりに良い番組を放送してくれます。でもソースはすべて外国のもの。もっと日本の演奏家やダンサーの映像を放送してくれることを希望します。
 
出演:アルティナ・アスィルムラートワ、ラリッサ・レジュニナ
   ユーリア・マハーリナ、コンスタンティン・ザクリンスキー 
   ファルフ・ルジマートフ他、キーロフ・バレエ団
指揮:ヴィクトール・フェドトフ、演奏:マリインスキー劇場管弦楽団
 ・『ショピニアーナ』(ショパン)、振付:ミハイル・フォーキン
 ・『ペトルーシュカ』(ストラヴィンスキー)、振付:オレグ・ヴィノグラードフ
 ・『バーバーのアダージョ』、振付:オレグ・ヴィノグラードフ
 ・『海賊』から「パ・ド・ドゥ」(アダン)、振付:マリウス・プティパ
 ・『妖精人形』(J・バイヤー)、振付:N&S・レガット
 ・『大理石の娘』(C・プーニ)、振付:アルトゥール・サン=レオン
 ・『パキータ』(ミンクス)、振付:マリウス・プティパ
  制作:1991年

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