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幸田浩子:モーツァルト・アリア集    (2008.4.6)

ソプラノの幸田浩子さんが歌ったモーツァルトのアリア集のCDが出たので買いました。
幸田浩子さんを知ったのは数年前、NHKテレビがウィーンを紹介した番組で、名所の案内と数曲を歌っていました。 彼女が歌った曲が何だったか思い出せませんが、彼女は、当時ウィーンフォルクスオーパーの歌手だったこともあり、ウィーンのオペレッタなどの曲だったと思います。 この時は、アイドル歌手のように可愛らしい娘だなと思った位で、余り記憶に残らず、彼女の存在も忘れてしまいました。
それから数年後の今年(2008年)1月のニューイヤーオペラコンサート。ドリーブの歌劇「ラクメ」の「鐘の歌」を歌ったのが、幸田浩子さんでした。 ソプラノの中でも最も高い音域のコロラトューラが展開される難曲中の難曲ですが、美しい高い歌声で見事に歌い終えて、盛大な拍手を受けました。 胸に手を当てて、無事に終わって良かったとホッとした表情がなんとも可愛らしく、改めて私もファンになった次第です。
そんなおり、ふと新聞で、「幸田浩子デビューアルバム録音」の記事を見て、曲目が全てモーツァルトの曲だったので、聞いてみようかなと思って購入したわけです。
このアルバムは、モーツァルトのアリア、歌曲、宗教曲から9曲からなっています。デビュー盤にモーツァルトを選んだのは、「一番作品を歌い込んでいて、大好きな作曲家だったから」。 「オペラも宗教曲も大切だから、どっちも入れたい」と思い、珠玉の9曲が選ばれたとのこと。
でも、彼女は可愛らしい容姿からも、オペラの娘役がよく似合うようで、歌劇「フィガロの結婚」よりスザンナのアリア「とうとうこの時が来た〜 恋人よ早くここへ」、 歌劇「ドン・ジョバンニ」より「恋人よ、さあこの薬で」、ついで、歌劇「劇場支配人」のアリア「若いあなた!」が、 とても楽しそうで良い感じでした。「恋人など相手とのコミュニケーションが大切な要素。歌いかけているように聞こえればいいな、と意識した」とのこと。
逆に、歌劇「魔笛」の夜の女王のアリア「復讐の心は地獄のように胸に燃え」や 歌劇「後宮からの逃走」のコンツタンツェのアリア「あらゆる苦しみが」は、 美しく澄んだコロラトゥーラは冴えていたものの、やや淡泊に聞こえました。「後宮からの逃走」でしたら、声質からブロンデの方が合うように思います。 ブロンデのアリア「なんという喜び、なんというたのしみ」を聞いてみたいものです。 同様に、モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」もコロラトゥーラが一際映える名曲で、ご本人は「実演で歌った回数は100回ではきかない」そうですが、 「アレルヤ」の部分にもう少し華麗さが欲しいなと感じました。 アルバムの最後に入っているモテット「アヴェ・ヴェルムス・コルプス」は、歌いかけるようにとてもよい感じでした。
透明感のある高音と可愛らしいルックスは、モーツァルト以外ではリヒャルト・シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」のゾフィーやプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」などの、娘役によく似合うと思います。 何年か後に、夜の女王のような成熟した女性の役の、一層歌の深みが加わった歌唱が楽しみです。

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