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メータ指揮フィレンツェ5月音楽祭の「後宮からの逃走」  (2006.4.9)

素敵なモーツァルト・オペラの映像を見ました。ズービン・メータが指揮したフィレンツェ五月音楽祭での「後宮からの逃走」のライブ映像です。この歌劇は、モーツァルトが愛妻コンスタンツェを得て、最も幸せな頃の作品で、ヒロインの名をコンスタンツェとしていることからも、彼女への溺愛ぶりが伺えます。イタリアのコロラトゥーラ・ソプラノ、エヴァ・メイが、主役のコンスタンツェを演じています。エヴァ・メイは、張りのある声とドラマティックな演技で、芯の強く固く操を守るという強い意志の役柄をとてもうまく表現しています。なんでも、メイのデビューはコンスタンツェはだったそうで、得意な役柄だそうです。
ベルモンテを歌うライナー・トロストは、意志の強いコンスタンツェに対して、やや頼りない王子という感じもしないではないのですが、テナーの歌声は美しく、終幕のコンスタンッェとの二重唱「何という運命」などは、情熱的な表現で魅力的です。
ペドリロのメフルザード・モンタゼリ、ブロンデのパトリッィア・チョーフィ、オスミンのクルト・リドゥルも、歌、演技ともにとても巧いと思いました。
いわゆる四大オペラに続く「もうひとつの傑作」と言われている「後宮よりの逃走」ですが、最近、テレビ等で映像にも接する機会がふえてきました。でも、それらの多くが、現代風にアレンジした演出が多く、あまりに個性的な故にストーリーに難解なきらいがあります。その点、このメータの演出はオーソドックスで、物語の進め方がとても解かりやすく、おとぎ話のオペラを気楽に楽しめるという感じです。舞台装置も簡素がゆえに雰囲気がよく、イタリアのオーケストラというと明るい感じがしますが、メータに指揮されたフィレンツェ五月祭管弦楽団は、むしろドイツ的な渋みのある音で、良い意味で生真面目な演奏という感じがで好感が持てます。
 
モーツァルト作曲 歌劇「後宮よりの逃走」K.384
[演奏]エヴァ・メイ(コンスタンツェ)パトリツィア・チョーフィ(ブロンデ)
   ライナー・トロスト(ベルモンテ)メフルザード・モンタゼリ(ペドリッロ)
   クルト・リドル(オスミン)マルクス・ヨーン(太守セリム)
   ズービン・メータ指揮、フィレンツェ5月音楽祭管弦楽団及び同合唱団
   2002年5月24日ペルゴーラ劇場(フィレンツェ)

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