【山口's HP TOPへ戻る】

ジゼル~の第1幕・第2幕から抜粋:韓国国立バレエ団     (2017.5.30)

とても素敵なジゼル~の第1幕・第2幕から抜粋の映像がYouTubeに載っていました。 Korean National Balletの公演で、 この映像のコメントには、국립발레단 지젤 갈라 공연(国立バレエジゼル・ガラ公演)としか書いてありませんが、 別のサイトで、「3.29 日午前10時から国会議員館1階の会議室でハンナラ党の議員の主催により、国立バレエ団でジゼルのガラ公演が行われます。身分証明書だけ持参すると入場可能です。《と書かれていましたので、政治家主催のガラ公演のようです。 です。 踊っているダンサーの吊前は載っていませんが、多分、ジゼルはイ・ウンウォン(이은원 Eun-won Lee) アルブレヒトはキム・ヒョンウン(김현웅 Hyun-Woong Kim)でしょう。
イ・ウンウォンは若くて美しいのですが、大人びた顔立ちのダンサーなので、可憐な村娘という感じではなく、第1幕でのジゼルにはやや違和感を感じました。 もう少し、可愛らしさが欲しいと感じました。ただ一幕最後の狂乱の場では、髪を振り乱しての熱演で、衣装が乱れてもなりふり構わずといった感じで、チョッと大袈裟すぎる?と感じないでもないですが、アルブレヒトの胸に飛び込んでこと切れるところの演技は、鳥肌が立つ位でした。
一方、第二幕での精霊のジゼルはこの上なく魅力的だった。釣鐘状のスカートのロマンチック・チュチュがとても良く似合い、円やかな甲とスッキリ伸びたトゥがこの上なく美しい。 パートナーのブレヒトにエスコートされて登場したジゼルの精霊。アントレでは腕を組んでゆっくりと中央へ進んでいきます。 お団子ヘアと釣鐘状のスカートのロマンチック・チュチュがとても良く似合い、円やかな甲とスッキリ伸びたトゥがこの上なく美しい。 この後の踊り手泣かせの、とんでもなく難しい技を控えて、とても緊張した表情。思わず『頑張れ!!』と声をかけたくなった。
まず最初は左足をデヴロッペして右足をゆっくりと上げていくポーズ。一際女性の表情が険しくなりました。 僅かに軸の左足がグラッと揺れたけれど、懸命に粘って右足をゆっくりと上げ、意を決して180°までアラズゴンドに開脚しグッと堪えた表情が何とも魅力的。 『お見事!!』。開脚が売り物のシルヴィ・ギエムや上野水香も真っ青なくらい。ギエムや上野水香は『エレガンスのかけらもない』と言われたこともあるけれど、それに引き換え、この女性はずっと優雅で美しい。果敢に限界に挑戦したバレリーナ。何て素敵なんでしょう。思わず観客の感嘆と賞賛の拍手が沸きました。 続いて第2の難関のアラベスクでの回転。足裏全体を床に付けたまま右足を軸にして、左足を水平に上げてゆっくり一回転するもの。 ベテランでもギクギクして、ぎこちなくなりがちなこの回転。軸足の下に回転台があるのかと思わせるほど、なめらかで美しかった。 無事回り終えたのもつかの間、第3の難関は、左足のアラズゴンド。右足を軸足にして、左足をゆっくりと限界まで上げていきます。 この時わずかにバランスを崩し、軸の右脚のくるぶしがギクギクと揺れ、今にも前につんのめって崩れそうになり、『ヤバイ!!、堪えて!・堪えて!』と手に汗を握ったけれど、歯を食いしばって必死に持ちこたえ、150°近く足を上げて見事に静止できたのは偉い。 至難な技にひたむきに取り組む若い女性の健気な姿に、再び観客は拍手。
最後の難関は両腕を胸前で組んでの極限のアラベスクパンシェ。前につんのめりそうになるまで、ゆっくりと恐る恐る体を倒していきます。 足元がふらつきかけ、思わず『堪えて、堪えて!!』と叫びたくなった。 今にも崩れそうになりながらも、必死に持ちこたえたアラベスクパンシェ。自らのバランスの限界挑み、精魂こめて踊りぬいたバレリーナの姿、本当に美しいものです。 かって故蘆原英了が『バレエの美は上安定の安定。デンと立っている姿は美しくない。崩れそうで崩れない姿が美しい』と言っていましたが、この踊りを見ていると、その通りのような気がします。 この後は、女性が男性にアシストされての二人の踊り。女性はアントレを無事踊り終えた安堵感からか、伸び伸びと踊っていました。 それにパートナーの男性のサポートがとても上手い。女性の動きを事前にキャッチして適切な支持の仕方をとっさに考えているようで流石です。 女性がバランスを崩しそうになっても、しっかり支えて、ビクともしません。また、とても丁寧にかつ力強く女性をリフト。 女性も安心しきって空中で思う存分美しいボーズを決めていました。 パ・ド・ドゥは二人の踊りですが、所詮、女性の踊りで男性はその引き立て役です。 女性が最高の美を表現できるように助けるのが男性の役目でしょう。 踊り終わってのレベランス。暖かい大きな観客の拍手を受けて、二人の表情はさわやかでした。
尤も、このキム・リフェの素晴らしい踊りは、キム・ヒョンウン(김현웅 Hyun-Woong Kim)の力強いサポートによるところが大きい様に思います。 キム・ヒョンウンは、もと国立バレエ団のダンサーでしたが、退団後、米国ワシントンバレエ団で踊っていたのだが、今回はキム・リフェの相手役を務めました。 キム・ヒョンウンのサポートはうまかった。キム・リフェの動きを良く見て、しっかりアシストしていたのが印象に残りました。 中盤の見せ場のバットマン・デヴロッペで右脚を頭上高く上げ、王子の手を離してのバランス。キム・リフェの表情が一際険しくなりました。 王子の手を掴んだ右手がギクギク揺れてなかなか手を離せない。 でも意を決して手を離してグッと堪えてバランス。ハット息を呑む美しさ。 「うまくいった《思わずとこぼれた笑顔が素敵でした。 終盤のキム・リフェのアラベスク・パンシェ。キム・ヒョンウンの右手がキム・リフェの右手をしっかりと支えて、 キム・リフェに左足を180度近くまで高く挙げるのを助けました。 今後もキム・ヒョンウンがキム・リフェのパートナーとして踊ることを期待したい。 ただ、この映像は、パ・ド・ドゥのアダージョのみです。ヴァリエーションやコーダがカットされています。 是非、ヴァリエーションやコーダを含んだパ・ド・ドゥの全てを見たいものです。
なお、この女性、こんなに一生懸命踊っても、胸や背中には薄っすら汗が滲んでいた程度で心地よい感じでした。ドン・キホーテやパキータのような元気な娘の踊りでは、ダンサーの胸や背中の汗は気にならないけれど、ジゼルは精霊なので、大量の汗は似合わない。 以前この場面で、日本のプリマ級のダンサーが背中と胸に流れるような汗をびっしょりかいて、とても汚らしく思え、せっかくの舞台が台無しでした。 バレリーナは汗を抑える努力も必要でしょう。
지젤 발레 - 서울발레단 : Seoul Ballet Gala Concert part 1.


【山口's HP TOPへ戻る】