一日目は、渓谷美を求めての黒部峡谷巡り。
午前6：52 東京駅発の　長野新幹線「あさま」で上田駅へ。午前8：30 上田駅に到着。
上田駅から、黒部峡谷の玄関口、宇奈月まではバスで約4時間かかりました。
上田駅→国道144号線他→(上田菅平IC)上信越自動車道(上越ICT)北陸自動車道(黒部IC)→県道53号線→宇奈月(205.8キロ)
宇奈月は古くからの温泉地で、黒部峡谷からのお湯をひいているそうです。 今回は、温泉には入らず昼食だけとり、黒部峡谷鉄道のトロッコ電車に乗り込みました。

宇奈月駅	宇奈月駅改札

黒部峡谷鉄道は、一般旅客向けのトロッコ列車が運行される観光鉄道ですが、元々は電源開発のための専用鉄道であり、 現在でも沿線にあるダム・発電所への資材運搬列車や、関西電力関係者専用列車も運行されているそうです。
1937年に登山客や一般観光客からの乗車希望が絶えなかったので、便乗という形で乗車を認めることにしたのですが、 この時乗客に発行した「便乗券」(乗車券)には、「生命の保証をしない」旨が書かれていたそうです。 その後、乗客の増加に伴い、地元の強い要望から、1953年（昭和28年）地方鉄道法による免許を受けて、 正式な鉄道路線として営業を開始し、1971年(昭和46年)に関西電力から分社化され、黒部峡谷鉄道となったとのことです。
トロッコ電車には、4種類の客車がありますが、私達の乗ったのは窓なしのオープン車両。自然と一体となった開放感を味わいました。小さな重連の電気機関車が急勾配を力強く引っ張っていきます。

トロッコ列車

走りだしてすぐ渡る赤い新山彦橋は、電気の音がこだまして温泉街に届くことで名付けられたとか

新山彦橋

宇奈月ダムは、2001年に完成した新しいダムです。赤い半円形の欄干の湖面が、湖面と周囲の山々調和して美しい景色でした。

宇奈月ダム

新柳河原発電所は、中世のヨーロッパの古城といった感じ。うなづき湖と背景の山との対比が美しかった。

新柳河原発電所	柳橋駅と新柳河原発電所

あっという間に通り過ぎてしまい、とっさにシャッターを切った仏石。仏様のような天然石が祭られています。鉄道が開通する前には近くに茶屋もあり、黒薙温泉などへの湯治客が、茶屋でひと休みし、入山の安全を祈願したといいます。

仏石

森石駅を出てすぐ渡るのがブルーの森石橋。橋の上から眺める山々の緑の美しさとと、爽やかな風が気持ちよかった。 駅での上下列車の交換時には、いつも車掌さんが手を振って笑顔を振りまいていました。

森石橋	上下列車交換･笑顔の車掌

黒薙駅のホームの先にあるのがやはりブルーの後曳橋。車窓から谷底を見下ろすと、思わず恐ろしくて後ずさりしてしまうので、 「後曳」だそうです。

後曳橋	後曳橋下の谷底

急な斜面を切り開いて出来た、巨大なコンクリートの堤防の出し平ダム。 出し平ダムの後方に見える6つの峰が重なったような岩山が出し六峰。荒々しい岩肌と、静かな湖面との対比がとても美しかった。

出し平ダム	出し六峰

猫又(ねこまた)駅近くの、「関西電力黒部川第二発電所」。 赤い鉄橋と白い建築の美しいプロポーションと、その背景の深い緑の岩壁、手前には流れ下る激流。 美しい景観を創りだしているこの建築のデザインは、設計者・山口文象によるもので、富山の建築百選にも選ばれているそうです。

関西電力黒部川第二発電所

猫又駅を過ぎると、左前方に東鐘釣山が見えました。石灰岩で出来ている岩山で、鐘のような形をしていました。 この辺りは、断崖が黒部川に落ち込むように続いていました。

東鐘釣山	黒部川

約60分で、鐘釣駅で下車。鐘釣駅は、相対式2面2線のホームを持つ、列車交換対応駅で、 他の駅がダムや発電所関連施設のために設けられているのに対して、観光客向けの純然とした旅客駅で、有人駅です。 近くに、万年雪展望台があり、真夏でも溶けることなく残っているという万年雪を見ることが出来るはずでしたが、 今年は大雨で流れてしまったとかで、見ることは出来ませんでした。

鐘釣駅	万年雪は無かった!!

黒部峡谷鉄道の終点は、鐘釣駅よりさらに20分先の欅平駅ですが、 ここから宇奈月駅へ引き返し、バスで宿泊地の白馬乗鞍温泉へ向かいました。

ホテルからの立山連峰

今回は、「新幹線で行く！立山黒部アルペンルート・トロッコ列車8つの乗り物の旅2日間」というパッケージ･ツアーを利用しました。
東京駅発、6:52の長野新幹線利用と極端に早く、自宅を5時前に出なければならないという過酷な日程だったのですが、、実はこの日(9/28)の8:00頃、信号所の故障でJR東日本の東北･上越･長野新幹線が12:00頃までストップしたのです。私達の乗った列車は、その頃には目的地近くまで来ていて影響を受けず、「早起きは三文の得」ということでしょうか。

このツアー、♪♪往復新幹線でらくらく移動！！。みどころたっぷりのアルペンルートをお楽しみ！！♪♪、という宣伝文句でしたが、かなりきついスケジュールでした。 往復に長野新幹線を利用するのは良いことだと思いますが、新幹線を降りてからの観光バスの乗車時間が長いことから、 残りの時間が制約されてしまい、かなり忙しい旅でした。黒部ダムへは、地中階段を上る時間がなかったし、大観峰や室堂では、散策の時間をとりたかった。雷鳥を探す時間もありませんでした。
ツアーは、効率よく、いろんなところを見せてくれるのがメリットですが、 忙しすぎるのも考え物です。2日間にこだわらず、室堂あたりで一泊するような、無理のないスケジュールにする方が良いように思いました。

そんな中で、添乗員の桜井さんの、私たちへの心配りがとても有り難かった。ご本人はまだ未熟だと謙遜していましたが、どうしてどうして、よく勉強して、とても親切な説明でしたし、よくわかる大きな声で、適切な誘導をしてくれました。同じツアーの他のグループのアクシデントにも率先して機敏に対応していたのには感心しました。 この仕事が楽しくてたまらないというようで、生き生きとした仕事ぶりが美しかった。今後も頑張って欲しいと思います。