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小林バレエ:バレエの情景、レ・パティヌール、パキータ (2003.11.24)
「バレエの情景」も「レ・パティヌール」も、ともにロイヤル・バレエのフレデリック・アシュトン振付のバレエです。
まず「バレエの情景」ですが、舞台にいるダンサーたち皆が違った動きをするのですが、かといって、滅茶苦茶になるという印象にならないところは、アシュトンの振り付けのうまさなのでしょう。
細やかで丁寧な、ロイヤルバレエから客演の吉田都さんの踊りが見事でした。ストラヴィンスキィの速く、跳躍の多い音楽の中に、派手な見せ場が少ないのですが、一瞬見せる完璧なバランス、行き届いた腕の表現力に驚かせられました。
マイヤーベアー作曲の「レ・パティヌール」。スケートに興ずる人たちの情景を描写していて、英国では冬のスケート・シーズンになるとときどき上演されるそうですが、日本ではあまり上演はされません。ストラヴィンスキーに比べるとずっと親しみやすいマイヤーベアーのメロディーを、ロイヤルバレエの故コンスタント・ランバートが巧みにバレエ用にアレンジして、美しい音楽にし、アシュトンの振付が、爽やかな笑いを誘う楽しいバレエに仕上げています。ダンサー達も楽しげに踊っていて、肩肘張らずにリラックスして楽しく見れました。
ところで、「レ・パティヌール」は、1937年にサドラーズ・ウェルズ劇場で初演されましたが、この時、その後まもなく世界的な
バレリーナとして認められるようになった17歳のマーゴ・フォンティーンが、ホワイトガールを踊りました。パドドゥの相手役はロバート・ヘルプマン、主役級の
ブルーボーイは、ハロルド・ターナーだったということです。
フォンティーンとターナー(1937)
最後の「パキータ」は、マリウス・プティパの振付。元イングリッシュ・ナショナルバレエからの客演のパトリック・アルマンは、ジャンプもあまり高くなく、やや重そうで、必ずしも本領発揮ではなかったと思いますが、島添亮子さんと、よく息が合っていました。
島添さん、細い方で、まだ若いことのあって、吉田都さんに比べると、華やかさや貫禄には欠けるものの、指先まで神経の行き届いた正確で美しい踊りに、爽やかな輝きが印象的でした。
ただ、彼女、上半身は優雅で比類ない美しさでしたが、下半身がやや弱いのでしょうか、終盤のグランフェッテはかなり荷が重そう。ふらつきを堪えて懸命に回る姿はとても辛そうでした。途中軸足が大きくずれて、あわや!!と、ハラハラしたところがありましたが、必死に立て直し、最後まで踊りぬいたのは立派、感激しました。歯を食いしばって、難しい技に挑むけなげな姿に、思わず「頑張って!!」と声をかけたくなりました。
小林紀子バレエ・シアター 第76回公演
バレエの情景:フレデリック・アシュトン振付、ストラヴィンスキー作曲
レ・パティヌール:フレデリック・アシュトン振付、マイヤーベール作曲
パキータ:マリウス・プティ振付、ミンクス作曲
2003年11月24日(月)、ゆうぽうと簡易保険ホール
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