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白鳥の湖~黒鳥のグラン・パ・ドゥドゥ~アダージョ:キム・リフェ、キム・ヒョンウン  (2016.7.10)

とても素敵な、黒鳥のグラン・パ・ドゥドゥのアダージョの映像が、YouTubeに載っていました。 2014年5月、芸術の殿堂野外舞台でのバレエコンサートのようです。 踊っているのは、 キム・リフェ(김리회 Li-hoe Kim)。 韓国国立バレエ団のプリンシパルです。 キム・リフェは全く緊張感がないようで、最初から最後まで笑みを絶やさず、思い切りダンスを楽しんでいるよう。 こんな舞台を見ているとこちらも楽しくなります。

アチチュードやアラベスクのバランスといった難しいポーズの場面が多い黒鳥のグラン・パ・ドゥドゥのアダージョでは、 「失敗したらどうしよう!!《と緊張してコチコチの女性ダンサーも多く見かけますが、キム・リフェはそんな感じが全くなく、のびのびと踊っていました。 このパ・ドゥドゥは、悪魔の娘が王子を誘惑する踊りなので、全幕の舞台ではオディールはもっと妖艶な感じなのでしょうが、 キム・リフェは明かるく軽快に踊っていました。バレエコンサートなので、観客を楽しませる上で、これはこれで良かったと思います。 キム・リフェは、中国雑技団級の体の柔らかさ。股が裂けてしまうのではと心配になるほど、180度を超える開脚を、 いとも容易く、何度もやってのけたのには驚き。これが全く嫌らしさを感じさせず、むしろ健康的な色気が心地よい。 クラシックバレエではお色気はご法度とされているけれど、そんなことどうでも良いという気持ちになってくるほど、心地よいセクシーさが漂います。 冒頭の横に手脚を広げ、王子にリフトされて横に移動して、オディールのカリスマ性を表現する独特の踊りも、 アダージョ終盤の、座った体勢から右手で王子につかまりアチチュードで立ち、右足のつま先を左足の膝に付けたルティレから、 バットマン・デヴェロッペで右足を高く上げ、パートナーの手を離してバランスという難しい技。 手を離した瞬間さすがに表情が強張ったけれどグッと堪えて見事にクリア。 ハッと息を呑みました。 思わず「うまく出来た!!《とホッとしたのでしょう。笑みが浮かびました。 この後再び王子の手につかまりアチチュードしてからのアラベスク・パンシェ。 支えの腕がギクギク揺れたものの必死に堪えて、 左足を180度近くまで高く挙げて決めました。 ついで、腰を支えられピルエットでクルクル回り、最後のアチチュードをピタッと決め、満面の笑みでした。

キム・リフェは、韓国国立バレエ団では、キム・ジヨン(Ji-young Kim)に次ぐプリンシパルとのこと。 キム・ジヨンほどキャリアもないけれど、 溌剌としてキビキビとした身のこなしと可愛らしい表情。 それでいて、アダージョのゆっくりして柔らかな動きもきちんとこなすテクニックの持ち主。 このパ・ドゥ・ドゥでは、小悪魔的なカリスマ性を感じさせ、まさにオディールに適役という感じ。 小さな頭に、長い脚という均整の取れたプロポーションに、 黒いシックなチュチュが良く似合う。 病的なまでに華奢で弱々しさを感じさせる舞姫が多い中、 ふっくら豊かな胸、ピチピチとした肢体・・・、はちきれんばかりの太ももには健康的な色気が漂う。 心も健康的で度胸がすわっているのでしょう、堂々とした踊りでした。 グラン・パ・ドゥドゥはもともと女性が主役の踊りだけに、女性は観客の視線をまともに受け、 プレッシャーのあまりコチコチになり、パートナーの男性の頼って踊る・・・、というのが普通ですが、 キム・リフェは全然そんな感じがせず、むしろ堂々としていました。
尤も、このキム・リフェの素晴らしい踊りは、キム・ヒョンウン(김현웅 Hyun-Woong Kim)の力強いサポートによるところが大きい様に思います。 キム・ヒョンウンは、もと国立バレエ団のダンサーでしたが、退団後、米国ワシントンバレエ団で踊っていたのだが、今回はキム・リフェの相手役を務めました。 キム・ヒョンウンのサポートはうまかった。キム・リフェの動きを良く見て、しっかりアシストしていたのが印象に残りました。 中盤の見せ場のバットマン・デヴロッペで右脚を頭上高く上げ、王子の手を離してのバランス。キム・リフェの表情が一際険しくなりました。王子の手を掴んだ右手がギクギク揺れてなかなか手を離せない。 でも意を決して手を離してグッと堪えてバランス。ハット息を呑む美しさ。「うまくいった《思わずとこぼれた笑顔が素敵でした。 終盤のキム・リフェのアラベスク・パンシェ。キム・ヒョンウンの右手がキム・リフェの右手をしっかりと支えて、キム・リフェに左足を180度近くまで高く挙げるのを助けました。 今後もキム・ヒョンウンがキム・リフェのパートナーとして踊ることを期待したい。 ただ、この映像は、パ・ド・ドゥのアダージョのみです。ヴァリエーションやコーダがカットされています。 是非、ヴァリエーションやコーダを含んだパ・ド・ドゥの全てを見たいものです。
Swan Lake: Li Hoe Kim and Hyun Woong Kim
Korean National Ballet at the 2014 Ballet Festival Korea.
Seoul Arts Center、31 May 2014

キム・リフェの稽古の映像もYouTubeに載っていました。一心に稽古に励む姿に感動です。

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