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ロス・フェスの「パ・ド・ドゥの花束」の楽しさ   (2002.9.1)

「Pas de Deux」というx古いビデオテープがあります。1984年のロスアンゼルス・バレエ・フェスティバルの記録です。
 
このビデオは、0987年に仕事でニューヨークへ行ったとき、メトロポリタン歌劇場の近くのバレエ・ショップで見つけて買ったものです。
この公演は、パ・ド・ドゥからなるバレエコンサートで、ドン・キホーテ、眠りの森の美女、ラ・シルフィード、海賊ほかのパ・ド・ドゥが踊らました。
発売元は、VAI(VIDEO ARTS INTERNATIONAL,INC.)となっています。メジャーなレーベルではなく、小さなビデオ制作カンパニーのようで、ビデオの映像は、あまり美しいものではありませんでした。でも、このような小さな企業が、採算度外視で、珍しい貴重な映像を提供してくれるのは有り難いことです。
最近この映像が、「パ・ド・ドゥの花束」というタイトルで、DVDで発売されました。早速購入して見たのですが、映像が見違えるように美しくなっているのに驚きました。
小さなビデオ制作カンパニーが撮影したものですから、オリジナルの映像が良くないのではと思っていたのですが、そうではなく、ビデオカセットへの変換工程で画質が落ちていたようです。もちろん、最新の映像には及びませんが、このような貴重な映像が、DVDで復刻されるのは歓迎です。
 
内容はとても充実しており、当時旬のダンサー達の素敵な踊りを楽しめます。
ロスンゼルスバレエ団、パリオペラ座バレエ団、ニューヨークシティバレエ団などの若いダンサー達に混じって、森下洋子さん、清水哲太郎さんも参加しています。
森下さんは、当時、30歳半ば。最も油のっていた頃だとお思います。
 
私は、森下洋子さんの踊りを、彼女が15歳のころから見てきましたが、バランスの良さと、軽快なピルエットやフェッテに秀でておられました。 最近の彼女は、このころの派手さはなくなりましたが、控えめな踊りの中に、情緒というか、円熟した人間的魅力というか、・・・が感じられ、私と同世代の彼女が、高齢にも拘わらず、懸命に一線で頑張っておられるのには頭が下がります。
 
このビデオのドン・キホーテのパ・ド・ドゥでは、森下洋子さんの抜群のテクニックを披露しています。アダージョでは、胸のすくような長〜い見事なバランスを見せてくれていました。客席からブラボーの声が飛び交います。コーダでのグランッフェッテは、寸分のずれもなく見事です。大変な重労働なのに、後半になっても全く疲れを感じさせず、軽快に回っていました。再び、観客の大喝采を浴びます。
 
ところで、森下洋子さんは、天才バレリーナと言われますが、本当は人一倍努力をする人だと言われています。彼女が、「バレリーナの羽ばたき」(ゆまにて出版)の中で言っている言葉にそれが良く現れています。引用、掲載させて頂きます。
「踊りは一朝にして上手くなるものではありません。毎日毎日の鍛錬によって、一歩ずつ階段を登っていくのです。開かれた世界の扉を叩くとき、私は日本のバレリーナである誇りを失わず、日本の皆さんから教えられ守られている感謝を忘れません。」
 
森下洋子さんのことばかりになってしまいましたが、このビデオには、これ以外にも楽しいパ・ド・ドゥが一杯納められています。
古いビデオテープのパッケージと、最新のDVDの画像を以下につけておきます。


  1.チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ : パトリシア・マクブライド、リード・オルソン
  2.ラ・シルフィード : ギレーヌ・テスマー、ミカエル・ダナール
  3.ゼンツァーノの花祭り : リンダ・ヒンドバーグ、アーネ・ヴィラムセン
  4.ドン・キホーテ : 森下洋子、清水哲太郎
  5.海賊 : マリエーヌ・メンシア、ヤニス・ビキエリス
  6.青い鳥のパドドゥ : ナダジダ・ソビーヌ
  7.眠りの森の美女 : エレン・バウアー、タミアン・ウフォッェル

  
古いビデオ   最新のDVD

 
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