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フォンティーンのバレエの魅力 (2001.10.14)
マーゴ・フォンティーン(1919〜91)が世を去ってから10年を越えました。もはや伝説のバレリーナになりつつあります。
フォンティーンが亡くなる数年前、英国BBC放送での6回シリーズ「The Magic of Dance」という番組に出演しました。
この番組は、日本のNHKでも「バレエの魅力」というタイトルで、やはり6回連続で放送されました。
この番組のビデオが残っていますが、一回45分の6回分ですが、「マルグリットとアルマン」などフォンティーン自身の踊りはもちろん、ヌレエフ、フレッド・アステア、日本の森下洋子さんの「ドンキホーテのパドドゥ」などの非常に珍しい映像も入っていて、今ではとても貴重なものだと思います。
この番組に出演の後、フォンティーンはこれを一冊の本にまとめました。その名も番組と同じ「The Magic of Dance」です。この本は、湯川京子さんの訳で日本でも出版されています。(発行:新書館)
この本で、フォンティーンは、私たちをルイ14世のヴェルサイユ宮殿へと誘い、さらに19世紀の帝政ロシアへと案内してくれます。そこに舞うのはイサドラ・ダンカンであり、アンナ・パヴロヴァであり、ニジンスキーであり、そしてヌレエフの成功へとつながっていきます。また、ロシア以外にもフランス、デンマーク、オーストリア、イギリス、アメリカとバレエやダンスが花開いた国々の、多くのエピソードがとりあげられています。
そうした歴史的なことばかりではなく、フレッド・アステア、バリシニコフ、カルサヴィナ、ジョセフィン・ベーカーと数限りないダンス界の重鎮が次々に登場します。
フォンテーンは、半世紀にわたるプリマ・バレリーナとしての華麗なキャリアを通じて、ダンスの歴史をたどり、人間にスポットをあてながら、ダンスのマジックについて、独自の見解を示しているように思います。
このビデオの中でフォンティーンが言っていた特に印象に残った言葉を載せておきます。
「舞台は私を引きつけます。そこには、挑戦とへの希望と、敗北への恐怖があります。幕が上がる前はいつも緊張します。」
「トップの座を守ることの苦しさを知っていたら、私はバレエを仕事に選ばなかったでしょう。下りのエスカレータを駆け上がるように少しも立ち止まることができないのです。でも、だからこそ楽しいのです。私は挑戦することが好きなのです。」
ビデオのタイトル画面 単行本「バレエの魅力」
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