何とも繊細で品が良く、とても興味深いローズアダージョのヴァリエーションの稽古の映像が、YouTubeに載っていました。
踊っているのは、目黒学園カルチャースクールのグレイスバレエ&楽しいクラシックバレエ合同発表会での、伊藤槇子というダンサーで、
グレイスバレエの教師のようです。
伊藤槇子の踊りは、とても繊細で上品で、とりわけ笑顔がとても美しい。難しい場面でも終始柔和な表情を失わなかったのは立派。こんなに笑顔の美しい素敵なバレリーナが居たとは驚きです。
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ローズアダージョのヴァリエーションは、ローズ・アダージョを踊り終えたオーロラ姫が、カラボスの毒牙に倒れるまでの間の数分間の踊りです。 16歳になったうれしさを体一杯に漲らせての可愛らしくと初々しくい踊ることが要求されます。 技巧面では数回転のピルエットを連続4度繰り返す難しい場面があります。 またフィニッシュは連続高速回転のシェネの後、両足のポアントで立ってグッと堪えて静止するポーズで締めくくります。 全幕の舞台では、ローズアダージョでの緊張に続き、休む間もなく踊るソロですから、バレリーナにとっては精神的に非常にきつい踊りです。 振りはおとなしく、テクニックを誇示する派手な見せ場が無いからこそミスが目立ちやすいので、バレエコンサートで踊られることはあまり多くないですが、伊藤槇子がこれにあえて挑戦したのは偉い。 |
このヴァリエーション、いかにミス無く美しく踊るかが問われるのですが、伊藤槇子の踊りは、これ以上はないと思われるほど、丁寧で品の良い踊りなのです。 このヴァリエーションは本番の舞台ではピンクのクラシックチュチュですが、伊藤槇子のこの時の衣装はクロスストラップのトップにホワイトのチュチュボンスカートという練習着。 これが繊細で可憐で本当によく似合っていて、とりわけ、チュチュから伸びた脚のドゥミ・ポイントが高くて歩き方が魅力的。 冒頭のアラベスクと、これに続くアチチュードのポーズ、そして途中パッセのポーズはとてもアンデオールされていて、パッセの開き方が美しい。 タメるべきところしっかりタメて、回るところは無理なくスムーズに回って・・・。 思わずため息が出るくらい。これほど美しく優雅に踊れる人も珍しい。 |
中盤の見せ場の4回のピルエットはとても美しい。3〜4以上も回る人もいる中で、伊藤槇子の回転数はいずれも2回転と多くはないのですが、スムーズ決めて、笑顔がとても美しかった。 やや危なっかしいところはあったものの、難しい場面でも終始柔和な表情を失わなかったのは立派です。 『やるぞ!!』と身構える様子を少しも見せず、自然にす〜っと回ってしまう。 厳しいレッスンにより得られた技術でしょう。 かって、吉田都がこのピルエットの4回目を6回も回って観客を驚かせたことがあったけれど、私はテクニックを見せびらかしているようで好きにはなれなかった。バレエはアクロバットではないので過度の技術の誇示はどうかと思います。その点、伊藤槇子は節度をわきまえた、慎ましやかな美しい踊りで、好感を持ちました。 | ローズアダージョのヴァリエーション(伊藤槇子) |
伊藤槇子さんは、グレイスバレエのアシスタント&代講教師となっていますが、さぞかし素敵な先生なのでしょう。これは発表会でのヴァリエーションですが、公演の舞台でもさぞ素敵なことでしょう。 是非、眠れる森の美女のオーロラ姫を全幕通して踊って欲しいものです。 |
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