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マーゴ・フォンティーンのオーロラ姫        (2000.11.3)

 
今や伝説的になってしまったマーゴ・フォンティーン。
幸運にも、私は彼女の「生」のオーロラ姫を見ることができました。
1973年の夏、マーゴは東京バレエ団の公演でオーロラ姫を踊りました。
デジレ王子役は当時まだ20台の永田幹文さん。かなり緊張の様子でした。
若い永田幹文さんにしてみれば、マーゴと踊れるというだけでコチコチになってしまったのも無理もないと思います。
でもマーゴは、そんな永田さんを優しくリードして、二人でとても息のあったパ・ド・ドゥを見せてくれました。マーゴの自信から、自然に出てきた優しさなのでしょう。
 
「マーゴ・フォンティーン・ストーリー」というレーザーディスクがあります。
これは、マーゴが自分の踊りをまじえながら、子供の頃からの生涯を振り返るというものです。
この中でマーゴは「ローズ・アダージョ」を踊っています。
1956年のモノクロですが、マーゴが30年代の尤も脂の乗りきった頃でとても貴重な映像だと思います。
 
マーゴ・フォンティーンは自から「ピルエットは苦手」と言っています。確かに彼女の踊りにはスピード感や激しさは少ないようです。
ゆったりとよどみなく流れるような踊りが彼女の持ち味です。
彼女の平衡感覚の良さは驚くべきものです。来日して、東京バレエ団に客演したときも、バランスの良さに驚嘆しましたが、この映像のローズ・アダージョのバランスも素晴らしいものです。息を呑み、時間が止まったような気にさせられます。VIEW
 
ケネス・マクミランは、「彼女の頭が首の上に座るさま、肩に首が座るさま、絶妙な身のこなし、華のある音楽性・・・。単に技術という意味では、オーロラを踊った優れたダンサーは枚挙にいとまはないが、彼女ほど理想的なオーロラを表現した人は今日まで出現していない。」と言っていますが、超一流の振付師にここまで言わせるほど、マーゴ・フォンティーンは素晴らしいバレリーナだったのでしょう。
そんなマーゴ・フォンティーンを見ることが出来た私は、バレエファンとして、最高に幸せ者だと思います。
 
(追)フォンティーンは、1991年パナマで亡くなりました。72歳でした。

 

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