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ジゼル:メゼンツェワ、ザクリンスキー、キーロフ劇場   (2005.8.6)

この映像は、1983年のキーロフ劇場におけるライヴ録画です。主役のガリーナ・メゼンツェワは、年齢的なものもあるのでしょうが、1幕では見た目という点では、初々しい少女らしさに欠けることは否めません。でも、メゼンツェワは細くて長い表情豊かな腕が印象的、感情表現に一見の価値があると思います。1幕のヴァリエーションですでに舞台にマーガレットの花束とブラボーコールが聴かれました。1幕の最後狂乱の場で実際に涙を流しながら演技をする所では、「狂乱」ではなく「悲しみ」で命を落とすという気持ちがひしひしと伝わってきます。
1幕では少女らしさに??だったメゼンツェワですが、ウィリとなった2幕では、一層味がでていると思います。長い手足を存分に使った安定的な踊りに加え、精神的な心理表現がうまく、まるで母親が子供を守るかのような強さを持つ精霊で、とても素晴らしいと思います。
ザクリンスキーは長身のノーブルなダンサーですが、ルドルフ・ヌレエフのような強烈な個性は感じられず、特にクセもないと言う意味では、伝統的なロシアのプリンシパルと言えましょうか。でも、特に1幕では、身分を偽って村で過ごしているけれど、ジゼルのことは本当に好きだったという情熱が感じられました。嘘がばれてから見せる困惑の表情が上手でした。
オリガ・フトルシナ、セルゲイ・ヴィハレフの「ペザント・パ・ド・ドゥ」が美しくて、とても良かった。とにかく可愛い。とても小さなダンサーだが、特に第1バリエーションのアラベスクの繰り返しがとても美しかった。ポアントが全くぶれず、見事です。このダンサーを始め、子供達は、ワガノワ・バレエ学校の生徒達とか。
また第2幕、ミルタ役のテレホワの安定した静かで強い踊り、二人のヴィリーを若いアルティナイ・アスィルムラトワとオリガ・リホフスカヤが踊っているなど、当時としては最高のキャスティングだと思います。

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