【トップページへ戻る】

吉田都 終わりのない旅    (2005.9.18)

吉田都さんの「終わりのない旅」という本を読みました。彼女はローザンヌ・バレエ・コンクールでスカラシップを得て、17歳でロイヤル・バレエ・スクールに留学。サドラーズウエルズ・ロイヤル・バレエ団(現バーミンガム・ロイヤル・バレエ)に入団して、1995年にプリンシパルとして英国ロイヤル・バレエに移籍。それから、もう10年。今もロイヤルバレエのプリンシパル・ダンサーとして活躍しています。
本の内容ですが、都さんの謙虚な人柄、周りの人への感謝の気持ちにあふれ、彼女は踊りへの情熱を真摯で誠実な言葉で綴っています。都さんは「バレエには決まった”型”があり、その型を次々と変えていくことで、”踊り”になっていきます。”型”には、ライン、角度、すべてに決まりがあり、完璧さが求められます。しかし、”型”を見せているだけでは踊りにはなりません。では、”型”を”踊り”にするために必要なこのは何か。それが、型と型をつなぐ”ステップ”です。全身に神経を張り巡らせ、完璧なラインを目指すなかで、ステップをつないでいく。バレエってなんてタイヘンなんでしょう!!」と言っていますが、バレエは決まった型が一つ一つ完成されていて、その一つ一つを、全身に神経を張り巡らせてステップでつないでいく・・・・、 バレエとは何かということを見事に表していると思いました。
「あの日以来、トゥシューズのあの細いトゥの上が、私の世界になりました。」という都さんの言葉がとても印象に残りました。どんなにバレエがお好きなのかがよくわかります。ただ、もう少し舞台写真があれば・・・と思いました。おそらくこの本の為に撮影したのでしょうが、チュチュではなく、パーティードレスのようなものを着た写真がほとんどです。それはそれで美しいのですが、本音を言うと可愛らしいチュチュの姿をもう少し載せて欲しい気がします。
 
「ジンクスもラッキーチャームもいらない。必要なのは強さ」や「ここを乗り越えればきっといいことがあるはず」と都さん。鍛え抜かれた人間とは本当に美しいものだと思いました。自分を見失うことなく、静かに努力し、静かに問題を克服してきた彼女。自らの経験で得た「人生とはどういうものか」を私達にさりげなく教えてくれる心温まる本です。

【トップページへ戻る】