今年もたくさんの「くるみ割り人形」の公演が開かれましたが、私は、山下公園の神奈川県民ホールでの牧阿佐美バレエ団の公演に行きました。

クララ役は伊東由希子さん。雪の女王は、坂西麻美さん。金平糖の精は上野水香さん、王子は森田健太郎さんというキャスト。上野水香さんのお家は鎌倉とあってか、上野さんを一目見ようという観客で、神奈川県民ホールは、立ち見が出るほどの盛況でした。

第一幕、クララ役の伊東由希子さん、可愛らしい上に表情がとても豊かでした。

ただ、ステージがやや暗く、照明が黄色がかっているのが気になりました。

第二幕も第一幕と同様、照明が黄色がかって暗い。これは改善すべきだと思います。

各国の踊りに引き続いていよいよ水香さんと森田さんのパ・ド・ドゥ。水香さん、ピンクのクラシックチュチュが可愛らしく、とてもよく似合っていました。

それにしても、上野水香さんというバレリーナ。体は時代を映すというか、この人の姿を見ると、そんなことを思ってしまいます。アニメのヒロインのような大きな目。どこか今までのダンサーと違う。しなやかな曲線を描く脚が、気持ち良くすーっと伸びていきます。紛れもなく21世紀に花開く人の体に違いないと思わせるのです。

グランパドドゥ最後のアラベスク。慎重に森田さんの手を離してグッとこらえて、時間が止まったようなトゥでのバランス。思わず会場からブラボーの声が聞こえました。このアラベスクに限らず、要所要所で、ハッと息をのむバランスの美しさ。まさに水香さんならではの「瞬間の芸術」です。

バリエーションも、丁寧でとても可愛らしかったのですが、最後の見せ場のピルエットがカットされたのはちょっと残念でした。彼女はピルエットも得意そうなので、次回はぜひ、このピルエットを加えて欲しいと思います。そういえば、昨年の草刈民代さんの舞台でも、このピルエットがカットされていました。牧バレエ団の「くるみ・・・」は皆そうなのでしょうか。

コーダは、とても軽やか。最後のフィッシュダイブもバッチリ決まって場内をわかせました。ただ、水香さん、トゥさばきは、とても軽やかなのですが、ブーレの時など、コトコトという靴音が気になりました。ジャンプから降りるときは、ふんわりと、全く音がしないのに・・・・・。

ところで、森田健太郎さんのサポートは素晴らしかった。上野さんの動きをよく見ていて、上野さんも、頼り切っているようで、微笑ましささえ感じました。

昨年の牧阿佐美バレエ団の公演は、BSシアターテレビが録画して放送してくれました。金平糖は草刈民代さん。今年もビデオカメラが回っていました。ぜひ、この上野水香･森田健太郎のこの公演を放送してくれることを、期待しています。