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「トップランナー」の上野水香さん (2004.8.8)
バレリーナの上野水香さんが、NHK教育テレビの「トップランナー」に出演しました。武田真治さん、本上まなみさん司会のこの番組、各ジャンルの第一線で活躍する人が出演していますが、今回は上野水香さん。それだけ、彼女が注目されているということでしょう。
水香さんは、この春、牧阿佐美バレエ団から東京バレエ団に移籍したばかりですが、東京バレエ団の団員として初舞台を踏んだ東京バレエ団第21次海外ツアーで大成功、一躍、東京バレエのトップスターに躍り出ました。
番組では、多数の観客に囲まれ、冒頭は、かなり緊張していた様子でしたが、次第にリラックスした表情に変わっていきました。
彼女は、とてもしっかりした言葉で、的確な表現で、インタビューを受けていました。さすが「東洋のギエム!」とまで言われる上野水香さん、と、改めて、感心させられました。私は、ギエム以上に彼女が好きですが・・・。
ベジャールの指導に熱心に「ボレロ」の練習する水香さんのリハーサル風景と本番のステージの映像が少しだけ紹介されていました。本番は素直できれいなベジャールの振りそのままの「ボレロ」といった感じで、好感がもてました。
番組で彼女が語っていた言葉、まだ26歳と若いのに、さすが世界の水香と、納得できるものも多く、そのいくつかを紹介します。
ボレロのレッスン風景の映像を見ながら・・・、ベジャールとの濃密な時間と託された思い(と字幕に出ていました)について・・・、ベジャールは、水香をとても質の高いダンサーと言ってくれている。自分も、そう思われて嬉しい。
愛用のトゥシューズを見せながら・・・、うまく踊れるように釘を打って改良するとか。
トゥシューズが全てを支配してしまう。この為、いつも新品を3〜4足持っているが、一回でだめになってしまうものもあるそうです。
脚を美しく見せるには、アンドールが基本だが、常に脚を美しく見せる意識が必要とか。
人の舞台を見て、得るものが大きい。素晴らしい踊りを吸収したい。
ブリュッセルが一番好きな街。ベジャールの街であり、ここでボレロを踊れたし、観客が熱かった。寿司がとても美味しかったとか。
母に勧められたバレエだが、小学生頃からレッスンが好きになり、憧れのトゥシューズを7歳ではいた時が忘れられない。
15歳の時のローザンヌのスカラーシップの映像を見ながら・・・、15歳でモナコへ留学、基礎をみっちり教え込まれた。
バレエは、毎日が壁。思うようにいかないのを一つづつ克服していく。
ローランプティから高い評価を受けて、クラシック以外を踊るようになった。いい振付家、いい作品に出会い、それが自分に合っていることが大切。
太る体質なので、プロポーションを維持するのは苦労している。ストレス解消に食べても、次の日から食べすぎないように心がけている。
プリンシパルになって、自分と一緒に踊ってくれる人や、廻りの人たちがいかに大切かが、身にしみてわかった。
バレエの至福、バレエの楽しさは、観客が喜んでくれるとき、観客と一瞬心が通じ合ったとき。一瞬の輝きを求めたい。
舞台で踊っているときは、無になっている、何も考えていない。役柄に没頭し、役になりきるよう努力している。
目指すダンサー像は、一流と言われるダンサー。全ての動きにすきがなく美しく、芸術を見ていると感じさせること。
・・・・・
上野水香さん、東京バレエ団に移籍して、ベジャールを筆頭に、新しい振付家や共演者を得て、一層、表現の幅を広げていくことでしょう。
ところで、東京バレエ団には、斎藤友佳里さん、吉岡美佳さんという美しいプリンシパル・ダンサーが居ます。お二人とも、清楚で可憐で知的な優しさと、溢れる気品という、バレリーナの資質を全て備えた魅惑の舞姫。私は二人とも大好きです。
ここへ突如加わった新星上野水香さん。純クラシック中心の斎藤さん、吉岡さんとはひと味違ったキャラクターの持ち主。三人のプリマ・バレリーナの火花の散るような華やかな競演、胸が躍ります。水香さんを得て、東京バレエ団のレパートリーは、ますます充実して行くことでしょう。本当に楽しみです。
一方、上野水香さんの抜けた牧阿佐美バレエ団、彼女の他に、佐々木想美さんや柴田有紀子さんも抜けてしまって・・・、スターダンサーは草刈民代さんただ一人。森下洋子さんが子供の頃から牧阿佐美バレエ団を見続けてきて、このバレエ団が好きなだけに、バレエ団の行く末が・・・、ちょっと気にかかります。
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