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森下洋子とブフォネスの共演 (2004.8.20)
確か1975年だったと思いますが、森下洋子さんとフェルナンド・ブフォネスが東京で共演したことがあります。二人は、その前年、ブルガリアのヴァルナで行われたバレエコンクールで金賞を受賞した同士です。
なんでもこの共演、「ヨーコと踊りたい」というブフォネスの希望で実現したそうです。この公演は、5月に東京新宿の厚生年金ホールで二日間続けて行われ、一日目が「ドン・キ・ホーテ」と「黒鳥」のパ・ド・ドゥ、二日目が「海賊」と「黒鳥」のパ・ド・ドゥだったと記憶しています。
一日に、パ・ド・ドゥを二つも踊るのは、体力的に、かなりの重労働でしょう。まして、その時まで二人は一度も踊ったことがなかったそうで、ブフォネスが日本にきて、わずかな時間でリハーサルという二人は、精神的にも、相当に大変なことだったと思います。でも、二日とも、二人は、疲れを微塵も見せず踊りきりました。森下さんは、どれも見事な踊りでしたが、私は特に「ドン・キ・ホーテ」が記憶に残っています。森下さんは、ポーズも回転もお上手ですから、「ドン・キ・ホーテ」のアダージョでの美しいバランスも、コーダでの軽快なグラン・フェッテも、いずれも全くの乱れもなくバッチリ決めて、観客は熱狂して、「ブラボー!!」の嵐でした。
森下さんもブフォネスも、当時まだ20代の若さでしたが、その後、世界のスターとして活躍します。おそらく、この共演で、一日に二つの、そして、二日で四つのパ・ド・ドゥを踊り抜いたということが、その後、両者とも世界に大きく羽ばたいていった、大きな自信に繋がったように思います。
森下洋子さんは、私と同世代ですが、すでに50代半ばを超えているのにも拘わらず、未だ松山バレエ団のプリマバレリーナとして現役で活躍しているのには頭が下がります。