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松山バレエ「ドン・キホーテ」      (2004.5.9)

松山バレエ団の「ドン・キホーテ」を見てきました。主演はもちろん森下洋子と清水哲太郎。毎年ゴーデンウィークに入ると、こどもの日をはさんで松山バレエ団の連続上演が行われますが、今年も「ドン・キホーテ」がBunkamuraオーチャ−ドホールを中心に上演されました。私は5月9日に近くの横須賀芸術劇場の公演を見に行きました。
横須賀芸術劇場は横須賀市最大の劇場で、2000人収容のホールは平土間席を4層のバルコニーが囲む馬てい形の客席で、本格的なオペラハウス仕様。どこからも舞台が近く、客席と舞台との一体感が高まるよう配慮がされた贅沢な劇場です。また舞台の奥行きが極めて深いのが特徴です。この「ドン・キホーテ」は劇場開設10周年記念公演だそうです。
 
松山バレエ団の「ドン・キホーテ」は、ルドルフ・ヌレエフ版。スペインを舞台に繰り広げられる老郷士ドン・キホーテと従者サンチョ・パンサの冒険の旅。森下洋子と清水哲太郎の絶妙なコンビネーション、躍動感あふれる踊りの連続。華やかで活気に満ちた見どころ満載の舞台でした。
 
松山バレエ団の演出では、第二幕第一場にキトリとバジルのパ・ド・ドゥが挿入されています。第一幕のスペインの広場の情熱的な雰囲気から、一転、二人の叙情的なパドドゥとなり、これが過ぎると、再び、ジプシーの踊り、そしてクラシックバレエならではの幻想の場、そして第三幕のお祭り・・・と、次々と場面の転換の面白さを味わえます。
結果として、主役の森下洋子さんは、第一幕と第二幕第一場ではパ・ド・ドゥ、第二幕第二場ではドルシネア姫、そして第三幕ではグラン・パ・ド・ドゥと、ほとんど出ずっぱりということになり、よほど、力の配分をうまくしないと、後半は疲れてしまうでしょう。
すでに50代半ばを過ぎた森下洋子さんにとっては、かなりの重労働を強いられることになったのですが、体力的にも精神的にも過酷な演出にもものともせず、素晴らしい踊りを見せてくださったのには驚きですし、敬服の至りです。
 
森下洋子さんは、さすがに、以前に比べるとやや余裕が感じられず、アダージョ終わり近くのお目当てのアチチュードのバランスも、わずかにふらついて短くなってしまいましたし(と言ってもかなり長いのですが)、果敢に挑戦した32回のグランフェッテもかなり辛そうで、十数回でしたが、それでも最後まで見事に踊り抜いたし、踊り終えてのレヴェランス、大きく肩で息をしながらも、笑顔で観客の大きな拍手に応えていたのはりっぱでした。 また清水哲太郎氏も、ヴァリアシオンでのジャンプの着地でやや不安定なところはあったものの、森下さんのサポートの力強さはさすがで、健在なところを見せてくれました。
 
森下さんは、秋には「眠りの森の美女」全幕を神奈川県民ホールで踊られるとのこと。オーロラ姫は、「ドン・キ・・・」以上に過酷な役柄。でも彼女の十八番ですから、立派に踊り抜いて下さるに違いありません。期待しています。
 

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