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森下洋子・ヌレエフの「ジゼル」    (2003.12.1)

ルドルフ・ヌレエフと松山バレエ団共演の「ジゼル」がNHKテレビで放送されました。ジゼル役は、もちろん、森下洋子さん。1983年、東京文化会館での公演の録画です。 森下洋子さんは、この頃30代半ば、もっとも脂の乗り切った時代です。森下洋子さんは、「ファンティーン、ヌレエフからバレエの真髄を教えてもらった」と言っておられます。
 
森下さんのジゼルは、第一幕で、恋する少女のういういしさ、ヴァリアシオンでの片足トウで立ち移動していく技術の見せ所、狂乱の場での髪を振り乱しながらも抑えた静かな踊り、第2幕で見せた重力を感じさせないテクニックと演技の正確さ、さすがに超一流という感じでした。
ヌレエフも、派手なテクニックを見せ付けるというのではなく、むしろ、控えめな踊りなのですが、要所要所でばっちり決めて、とても気持ちよい感じでした。森下さんと背の高さがかなり違い、背だけですと凸凹コンビのようですが、息はぴったりで、お互い助け合っての踊りに微笑ましささえ感じます。
頂けなかったのは、オーケストラ(東響)がよく音を外していた事。バレエ指揮者として定評のある福田一雄さんのタクトについていけない感じです。
 
ただ、2時間以上の全幕を、森下さんとヌレエフ出演の場面中心に約50分に短縮してしまったのはチョット。特に第一幕では、見所のペザントパドドウやコールドバレエがばっさりかっとされてしまったのは残念です。音声はモノーラルですが、20年前の録画とは思えない鮮明な映像ですから、BSハイビジョンかBSUで、ぜひ、全幕を放送して欲しいものです。
 
それにしても、「ジゼル」の初演は、1841年、今から150年以上も前です。「ジゼル」にせよ「ラ・シルフィード」にせよ、こんなに古いバレエが現代にも受け入れられ、世界中でたびたび上演され、こんなに観客を感動させているというのは驚きです。
 
   「“ジゼル”から」(アダン作曲)
   ルドルフ・ヌレーエフ
   森下 洋子
   松山バレエ団
   管弦楽:東京交響楽団、指揮:福田一雄
   1983年、東京文化会館

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