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森下洋子さんのペザント・パ・ド・ドゥの思い出 (2004.3.14)
35年ほど前、多分1969年だと思いますが、牧阿佐美バレエ団がブルガリアのバレリーナ、ベラ・キーロワをゲストに招いて、「ジゼル」を上演したことがありました。この時、私は、当然のことながら、キーロワのジゼルが目当てだったのですが、むしろ、第一幕でペザント・パ・ド・ドゥを踊った、森下洋子さんが印象に残っています。
森下さんは、数年後、清水哲太郎氏と結婚し、松山バレエ団に移籍することになるのですが、この時のパートナーは、深川秀夫さんでした。深沢さんも森下さんを優しくリードして、暖かいパートナーシップを感じました。
森下さんの踊りは、それはそれは見事で、アダージョでの二回の独り立ちのバランスの安定感と笑みを浮かべた表情の美しさ、コーダでの軽快さ、そして彼女特有の可愛らしさは例えようもなく、ブラボーの嵐で、観客は総立ちになりました。後に、森下さんへのカーテンコールがあまりに多かったので、主役のキーロワの機嫌が悪かったという記事を読みました。それほど、森下・深沢のペザント・パ・ド・ドゥは素晴らしかったのです。
このペザント・パ・ド・ドゥ、農民の踊りですが、これのみアドルフ・アダンの作曲ではなく、ブルクミュラーの作曲です。初演の時からあったそうですが、多忙なアダンが、ブルクミュラーに依頼して作曲し、挿入したものだそうですが、第一幕では重要な踊りだと思います。それなのに、バレエ放送や市販のビデオやDVDでは、このペザント・パ・ド・ドゥをカットしてしまうもことがあります。先日NHKで放送された、森下洋子とヌレエフのジゼルもそうでした。ぜひ、この魅力的な踊りをカットせずに欲しいと思います。
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