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モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調K.297b   (2008.5.21)
 フランスで作られたモーツァルトの作品 (5)

1778年の4月、パリ到着まもないモーツァルトは、コンセール・スピリチュエルの支配人のジャン・ル・グロの依頼により、ちょうどパリにいあわせた4人の名管楽器奏者、フルートのヴェンドリング、オーボエのラム、ファゴットのリッター、ホルンのヨハン・シュティヒのために1曲の協奏交響曲を作曲したのですが、どういうわけか演奏前に楽譜が紛失してしまい、作品は演奏されずに終ってしまいました。ところが、今世紀初めになって、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンのための1曲の協奏交響曲の筆写譜があることがわかり、この筆写譜こそ消失したと思われていた協奏交響曲の編曲譜であるという説が出されました。当時パリには多数の有力な音楽家が住み、互いにしのぎを削っていたので、パリの作曲家の誰かが、モーツァルトに得意の分野での名声を奪われることを恐れ、演奏されないよう楽譜をかくしてしまったという説が一般的だそうです。確かに、モーツァルトは、その後、父宛ての手紙で「今になってみると、あのころのように4人の音楽家が集まるという機会はまたとありません」と書いているそうで、陰謀のにおいを嗅ぎつけていたのかもしれません。
いろいろ言われている曲ですが、この曲には比類するものがないといったくらい美しい作品で、私は特に好きな曲の一つです。
 
モーツアルト:協奏交響曲変ホ長調K.297b
 楽器編成 独奏楽器(フルート、オーボエ、ホルン、ファゴット)、
 管弦楽(オーボエ、ホルン2、弦5部)。
 第1楽章 アレグロ 変ホ長調 4分の4拍子。協奏風ソナタ形式。
 第2楽章 アダージョ 変ホ長調 4分の4拍子。
 第3楽章 アンダンティーノ・コン・ヴァリアッツィオーネ 変ホ長調
  4分の2拍子。 主題と10の変奏。
 
私のレコードコレクション
 フルート:オーレル・ニコレ
 オーボエ:ハインツ・フォリガー
 ホルン:ヘルマン・ハウマン
 ファゴット:クラウス・トゥーネマン
 ネヴィル・マリナー指揮、アカデミーオブセントマーチン インザフィールズ

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