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オードリーの踊りの総決算!?「マイフェアレディ」   (2001.12.12)
オードリー・ヘプバーンは、ミュージカル映画「マイフェアレディ」の出演が決まったとき、大騒ぎするほど喜んだそうです。オードリーは、「マイフェアレディ」のヒロイン、イライザを、どうしてもやりたかった。彼女は「ジジ」でステージにデビューしたのですが、このミュージカルの映画化では、主役をレスリー・キャロンに浚われ、ひどく悔しんだそうです。
「マイフェアレディ」は「社交界にデビューする少女の物語」という点で「ジジ」に通じるところがあるし、ブロードウェイでロングランを記録した、ヒットミュージカルです。ステージでの「マイフェアレディ」の主役は、ジュリー・アンドリュース。当然、映画化でも最有力候補だったようです。このジュリーを蹴落として獲得した主役、オードリーが有頂天になったのもわかるような気がします。
ミュージカル「マイフェアレディ」は、バーナード・ショウの「ピグマリオン」のミュージカル化です。,「一晩中踊り明かそう」を筆頭に、素敵な歌と踊りのナンバーに溢れています。 この映画でも、オードリーのバレエの経験が、大きな力になっていると思います。彼女は、全てのナンバーを軽快に、そして魅力的に踊っています。これらの踊りはおそらくクラシック・バレエの経験から得られた「気品」に溢れています。おそらく、ジュリーアンドリュースでしたら、これだけの「気品に満ちた踊り」は出来なかったと思います。その意味で、この「マイフェアレディ」は、オードリーの「踊りの総決算」とも言える作品だったと思います。
ただ、オードリーには決定的な弱点がありました。「歌」です。オードリー自身も、踊りには自信があったけれど歌には?と思っていたようです。努力して、毎日レッスンを受けて、なんとか自分の歌を使ってほしいと懇願したようです。オードリーは初め全部歌ったらしいのです。でも、制作者のワーナーは、安全策をとりました。マニー・ニクソンという歌手による吹き替えです。彼女は、「王様と私」でデボラ・カー、「ウェストサイドストーリー」でナタリー・ウッドの吹き替えを行って定評があります。監督のジョージ・キューカーから、吹き替えの決定を聞かされたとき、オードリーは、悔しくて一晩泣き明かしたそうです。 個人的には、オードリーの歌が聴けなかったのは残念ですが、巨大な制作費をかけた大作、失敗は許されません。ワーナーの決定もやむを得ないと思います。
 
ともあれ、この「マイフェアレディ」、セシル・ビートンのコステュームの素晴らしさといい、オードリーのバレエへの情熱が花開いた、ミュージカル映画の最高傑作の一つと言って良いと思います。

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