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マイ・フェア・レディ オリジナル・キャスト盤       (2013.3.12)

ミュージカル「マイ・フェア・レディ」は、オードリー・ヘップバーン主演の映画が有名ですが、オードリーの歌声はマーニ・ニクソンという歌手の吹き替えです。 彼女は「ウェストサイドストーリー」でナタリー・ウッド、「王様と私」でデボラ・カー、 「南太平洋」でミッチー・ゲイナーの吹き替えも担当していて、「サウンド・オブ・ミュージック」ではシスターで出ています。 最初オードリー自身が歌うつもりで歌声も録音されたそうですが、ミュージカル映画には向かないということで吹き替えとなったそうです。 この映画「マイ・フェア・レディ」の元になった舞台は、1956年にブロードウェイで初演され、続いてロンドンで続演されたのですが、 主役を演じたのが映画「サウンド・オブ・ミュージック」のジュリー・アンドリュースです。 この舞台を録音したCD(オリシナルキャスト盤)が発売されています。

一つは1956年録音のブロードウェイ・オリジナルキャスト盤、二つ目は1959年録音のロンドン・オリジナルキャスト盤です。 いずれもイライザはジュリー・アンドリュース、ヒギンズ教授はレックス・ハリソンです。
 
ブロードウェイ盤はモノーラル、ロンドン盤はステレオ録音です。 1956年には既にステレオ録音は始まっていましたが、このブロードウェイ盤はモノーラル録音です。恐らく当時ステレオレコードは大量生産されておらず、一部のマニアのものだったので、 米コロムビアは、この時点ではモノーラル録音を選択したのでしょう。(ステレオレコードの大量生産は1957年にAudio Fidelity Recordsが最初)。 ロンドン盤はステレオ録音なので音の広がりはあるし、音質もブロードウェイ盤より優れているのですが、 21歳という若さもあってか、ジュリー・アンドリュースはブロードウェイ盤の方が素直な歌い方をしていて、私はこの方が好きです。 いずれにせよ、とても美しい声だけれど何となく物足りなさを感じる映画「マイ・フェア・レディ」のマーニ・ニクソンの歌い方と比較すると、 ジュリー・アンドリュースの歌い方は、本当に表情豊かで上手だと思います。

ブロードウェイ
オリジナルキャスト盤

ロンドン
オリジナルキャスト盤

ところで、マイ・フェア・レディの原作は、バーナード・ショウの戯曲「ピグマリオン」(1913年)です。 彫刻が趣味の王ピグマリオンが自分の彫った人形ガラティアに恋をし、神に祈ってそれに魂を入れてもらうというギリシア神話をもとに、 バーナード・ショウは、王を言語学者ヒギンズ教授に、人形を花売り娘イライザに、そして舞台を天界からロンドンに変えて戯曲にしました。 その後、ショー自身の脚本で映画化されましたが、この映画を見ると、映画「ピグマリオン」のストーリーをそのまま踏襲し、 それに音楽を付けてミュージカル化「マイ・フェア・レディ」が出来たのが分かります。なお、この映画を監督し自らもヒギンズ教授として出演している レスリー・ハワードは、その後ヴィヴィアン・リー/クラーク・ゲーブル主演の「風とともに去りぬ」(1939)でスカーレットの義妹メラニーの夫アシュレー・ウィルクスを演じました。 またイライザを演じたウェンディ・ヒラーは、デボラカー主演の「旅路」(1958)でアカデミー助演女優賞を受賞しました。

物語は、下層の訛を聞き分けることができるヒギンズ教授は、その晩もイライザの丸出しのコックニーに聞き惚れてはメモを取っていた。二人にちょっとしたいざこざが起き、て仲裁に入ってきたのがピカリング大佐。ピカリングも言語学者だったことから、ヒギンズとピカリングは意気投合し、ピカリングは自分ならこの貧相な下町娘を半年でレディに生まれ変わらせてみせる--と軽口を叩く。これを真に受けたイライザは教授宅に強引に押しかけ、そこで猛特訓を受けます。手始めにヒギンズの母のお茶会に列席するが、言葉使いはよくなっても話の内容たるや……。イライザはすっかりしょげかえってしまう。ヒギンズは、来たるトランシルヴァニア大使のレセプションに向けて、彼女を再度鍛え直し、皇太子のダンスの相手に選ばれるほどに完璧な淑女に磨き抜いたのだが……。
上流階級に属するヒギンズは、人の心がわからない唐変木で、本当は自分では何一つできない。一方、下層階級で全く教養がないイライザが、実は向上心がある努力家で、もともと知性と優しい心を持つ本物の淑女だという点が面白いのです。二人の対照的な男女の心の機微と複雑な恋愛感情、英国の階級社会への風刺が描かれています。
 
映画「ピグマリオン」(Pygmalion)
(脚本)バーナード・ショウ
(監督)アンソニー・アスキス
    レスリー・ハワード
(キャスト)ヒギンズ教授(言語学者):レスリー・ハワード
     イライザ(花売り娘):ウェンディ・ヒラー
     ピカリング大佐(言語学者):スコット・サンダーランド
1938年公開、モノクロ、イギリス映画

ピグマリオンのDVD

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