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眠れる森の美女:ミリアム・ウード=ブラム、マチアス・エイマン、パリ・オペラ座バレエ     (2014.9.21)
YouTubeで素敵な映像を見ました。パリ・オペラ座のミリアム・ウード=ブラムがオーロラ姫を踊った「眠れる森の美女」です。 ミリアム・ウード=ブラムは、小柄でほっそりとして均整の取れたプロポーションに気品溢れる顔立ち。 同じエトワールでも、オーレリー・デュポンを真紅の大輪のバラに例えれば、ミリアムは清楚で可憐なユリというところでしょうか。 エトワールになって間もないこともあってか、どこか不安げで、そっと支えてあげたいような気持ちにさせる姫キャラの彼女には、オーロラ姫は適役だろうと思っていましたが、繊細で期待にたがわぬ素敵な踊りでした。 この映像は、2013年のパリ・オペラ座の舞台のライブ・ビューイングからのもののようですが、 とても鮮明で楽しめました。

まず、プロローグの妖精たちの踊り。リラの精は、マリー・ソレーヌ・ブレなのですが、 この舞台では歩くだけで踊らず、この場面では代わりにエヴ・グランツタインが踊っています。 彼女の踊りは美しいですし、最後の難しいイタリアン・フェッテも軸が微動だにせず見事です。 上手すぎるから却ってテクニシャンとして特別扱いされて主役を躍らせて貰えないのでしょうか?

第1幕、16歳のオーロラ姫初登場のシーン。ミリアムは初々しくも可憐なオーロラ姫です。踊りは派手ではないけれど、上品で、基本にとても忠実で端正です。 続いてローズアダージョ。表情が固い!!。 でもそれが却って、初々しお姫様らしくて、真剣な眼差しが魅力的。 握り締めた王子の手をなかなか離せない。恐る恐る手を離し、でもしっかりアンオーまで挙げて、バランス。 崩れはしないかと、ドキドキ、汗握るバランスでした。 終盤のプロムナードに続くバランスはさらにハラハラ。 プロムナードで掴まっている腕がギクギク揺れて不安定。おっかなびっくり手を離す姿に、思わず「頑張れ!!」と応援したくなる。 これを三回繰り返す。そして4人目の王子の手を離してフィニッシュのアラベスク。 グラグラ揺れる上体を歯をくいしばって必死に堪える姿がなんとも健気で可愛らしい。 無事終わってレヴェランス。首筋にはほのかに汗が光り、ホッとして初めて見せた笑みが美しかった。
続くヴァリエーションもミリアムの緊張はほぐれないようで小さなミスが目に付きましたが、懸命に踊る姿は感動的でした。

2幕の幻影の場に入ると、ミリアム・ウード=ブラムは緊張が緩んで調子が上がってきたように見えました。 落ち着いて、丁寧で優雅な踊りを見せてくれました。

第3幕の青い鳥のパ・ド・ドゥは、フロリナ王女がヴァランティーヌ・コラサント、青い鳥がフランソワ・アリュ。 コラサントのフロリナは、ミスキャスト?。ちょっと貫禄がありすぎて可愛らしさがなく、エスコートする青い鳥のアリュが弱弱しく見えてしまう。 私のフロリナのイメージとは程遠い。

結婚式のグラン・パ・ド・ドゥ。 ミリアムは完全に緊張が解けた様で絶好調。 アダージョ、ヴァリエーション、コーダと、どれも美しく、王子のマチアス・エイマンのエスコートも微笑ましかった。 ただ、二人の白カツラは??。似合っているとはとても言えず、なぜ付けるのでしょう。くどい感じで頂けません。

パリ・オペラ座の「眠れる森の美女」のDVDには、オレリー・デュポンとマニュエル・ルグリ主演のものがあり、 これはこれで楽しめますが、ミリアム・ウード=ブラムとマチアス・エイマン主演のこのライブ・ビューイングの映像は、とても初々しくて魅力的で、 特に、ローズ・アダージョでは、こわばった表情と手に汗握るバランスの心もとさに、プレッシャーと戦うミリアムの気持ちがひしひしと伝わってきて、 「頑張って!!」と心から応援したくなります。 こんなに感動したローズ・アダージョは珍しく、是非DVDで発売して欲しいものです。
    オーロラ姫 :ミリアム・ウルド=ブラム、 デジレ : マチアス・エイマン
    リラの精 : マリー・ソレーヌ・ブレ
    カラボス : ブルーノ・ブーシェ
    妖精 : エロイーズ・ブルドン、オーバーヌ・フィルベール&レオノール・ボーラック、ローラ・エケ、シャルリーヌ・ジザンダネ、サブリナ・マレム、エヴ・グランツタイン
    (リラの精のVaと呼ばれる最後ののVaはリラの精ではなくエヴ・グランツタインが踊る)
    4人の王子 : オドリック・ベザール、ヴァンサン・シャイエ、フロリアン・マニュネ、ジュリアン・メザンディ
    青い鳥のパドドゥ : ヴァランティーヌ・コラサント、フランソワ・アリュ

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