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「女はすてきなものだ」による8つの変奏曲K.613

 
モーツァルトのピアノ曲に「"女はすてきなものだ"による8つの変奏曲K.613」という曲があります。
これは有名な「魔笛」を初演したヴィーデン劇場のシカネーダ劇団が、男向けの歌芝居「ばかの庭師」の中で歌った曲を、ピアノ演奏用にしたものです。
いまでしたら、このなことを言ったら、女性方から袋叩きにあいクハラで訴えられかねませんが、当時は平気でこんなことが言われていたようです。
 
モーツァルトの死の年、「魔笛」の作曲を依頼された翌日にウィーンで作曲され、モーツァルトの変奏曲の最後の作品になってしまいました。
このテーマ自身は他人の作ですが、モーツァルトにとっては、「魔笛」のパパゲーノを思い浮かべて作ったのでしょう。
なお、タイトルの「女」とは「妻」としての女という解釈が一般的です。
 
当時宮廷音楽家であったモーツァルトは、金に困っていたため、上流の女性達でも容易に弾けるようなピアノ曲をたくさん作って生活を支えていました。これもその一つです。
簡単に弾ける曲といっても、そこは天才モーツァルト、りっぱに通用する優れた曲です。
 
曲はモデラート・ヘ長調・4分の3拍子で、主題と8つの変奏とコーダから成っています。その純粋さの質は「魔笛」のパパゲーノの純粋さそのもののようにも思えます。♪♪
 
モーツァルトの変奏曲は、「キラキラ星の変奏曲K.265」を「ピアノの発表会」で聞くくらいのもので、あまり演奏される機会も多くありません。
私のコレクションは、イングリット・ヘブラーの演奏による、5枚のCDからなる変奏曲集の中のものですが、この変奏曲集は、レコードの少ない中で、モーツァルトをこよなく愛するヘブラーの貴重な努力の結晶だと思います。

 
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